1990 年 19 巻 3 号 p. 1109-1113
平滑表面を持つ抗血栓材料により内面をコーティングした人工心臓血液ポンプをin vivoで長期駆動させた際の、材料表面における吸着血漿タンパク、および粘着血小板の分布をImmuno-peroxidase stain methodおよびradioisotope conjugated antibody methodを用いて解析し、フィブリノーゲンの吸着部位、血小板の粘着部位に関しては、走査型電子顕微鏡による観察を加え、比較検討を行い、本法の妥当性についても検討を加えた。アルブミンが平滑な表面を持つ一様な吸着を示したのに対し、Ig-Gは表面が凹凸のある不均一な分布を示し、血栓の周囲では吸着量の増加が認められた。また、フィブリノーゲンの吸着部位、血小板の粘着部位はほぼ血栓形成部位と一致した分布を示した。本法は、吸着タンパクと血栓形成との関連、血流動態のタンパク吸着に対する影響の評価、高分子材料の抗血栓性評価、ポンプの形状の評価などに対して、非常に有用であると思われる。