抄録
ポリウレタン(PU)は人工臓器分野にも利用がはかられつつあるが, 材料の劣化, 生体適合性の面でまだまだ改良が必要ときれている。本研究では, ジイソシアナート, ソフトセグメン, トド鎖延長剤を変え, これまでのものとは構造の異なるPUを種々合成し, 細胞培養法により生体適合性の評価を行った。パーフルオロオクタンスルホンアミド基, 水酸基, ポリジメチルシロキサン(PDMS)やポリチオジエタノールセグメントなどを含む新しいPUを合成した。パーフルオロ基やPDMSのような疎水性のユニットを導入することにより, 細胞は付着しにくくなり, 細胞に対する反応がかなり異なる多様なPUを種々合成することができた。三種の芳香族ジイソシアナニトを用いて参たが, 細胞培養ではあまり違いは認められなかった。物性, 合成のしやすさなど, 総合的には通常使われているジフェニルメタンジイソシアナートが優れていた。