1990 年 19 巻 3 号 p. 1239-1242
異なる2成分より成るブロックコポリマーを担体とし、それに疎水性の抗ガン剤アドリアマイシンを結合させ、全体を高分子ミセルとすることにより新しいタイプの薬物複合体を合成し、ミセル形成能とin vivo抗ガン活性を評価した.
ブロックコポリマーの構造はポリエチレングリコールとポリアスパラギン酸から成り、アスパラギン酸残基の側鎖カルボキシル基にアドリアマイシンをアミド結合を介して導入した。合成した薬物複合体はpH7.4の緩衝液中で平均粒径50nmの単一分散のミセルを形成する。また、そのP388マウス白血病細胞に対するin vivo抗ガン活性は、高い延命率(T/C>488%)をアドリアマイシンよりも少ない体重減少の範囲内で得ることができた。