人工臓器
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大動脈領域におけるWoven Dacron人工血管、その成績と問題点
浦山 博坪田 誠品川 誠三崎 拓郎渡辺 洋宇岩 喬
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1990 年 19 巻 3 号 p. 1262-1265

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抄録

過去16年間に施行した大動脈領域のwoven Dacron人工血管移植例198症例を対象とし、その臨床成績を病理学的検索を含めて検討した。使用された人工血管はporosity 50ml/min/cm2のwoven Dacron直管が61個、130の直管が17個、200のY字型が120個であった。Preclottingは血液、血液熱処理、albumin熱処理にて111例に行ない、また、術後抗凝固療法は73例に行なった。人工血管の観察期間は最長16年、平均55.3ヵ月であった。人工血管に関係した合併症としては、術中に制止し難い漏血を2例、人工血管周囲の血漿腫を2例、晩期吻合部出血を1例、人工血管の感染を1例、人工血管の閉塞1例、末梢側吻合部の狭窄を1例に認めた。病理学的検索では移植後1ケ月目の人工血管の内面はfibrin血栓の膜に覆われるかDacronの繊維が露出しており、所々に赤色血栓の付着を認めた。移植後1年目以降では吻合部にpannus形成をみその他の内面はfibrin血栓かcollagen線維を主とする仮性内膜に覆われているが、人工血管によっては赤色血栓の付着も認めた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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