人工臓器
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繁用人工臓器の現況と将来循環補助人工臓器―補助心臓
岩谷 文夫猪狩 次雄阿部 俊文萩原 賢一丹治 雅博佐戸川 弘之渡辺 正明緑川 博文星野 俊一
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1990 年 19 巻 3 号 p. 997-1001

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抄録

全国36施設において行われた日本ゼオン製補助心臓使用61症例の臨床試験成績について報告した。61症例の適用の内訳は, 体外循環離脱困難39例, 術後低心拍出量症候群19例, 急性心筋梗塞による低心拍出量症候群2例, その他の心原性循環不全が1例であった。疾患例では, 虚血性心疾患, 弁膜疾患がそれぞれ38例, 22例であり, 補助形式は左心補助が53例(87%)で, 人工心臓を用いた両心補助は2例(3%)であった。34例(56%)は補助心臓から離脱でき, 13例(21%)に長期生存が得られた。離脱に関しては, 人工心肺時間, 適用決定から適用までの時間が問題で, 適用の早期決断, 迅速適用が重要と考えられた。弁膜疾患に比し虚血性心疾患の成績は良好であった。補助心臓の使用期間については, 3日から10日以内の使用例の成績が良好であった。補助心臓が直接関与したと思われる副作用は認めなかった。日本ゼオン製補助心臓は有力な不全心治療手段と考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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