抄録
FUTの透析膜への吸着性をpolyacrylonitrile(PAN)膜, polymethylmethacrylate(PMMA)膜, cuprammonium cellulose(CC)膜透析器を用いて, 同一条件下に水系におけるin vitroでの吸着と, 臨床試験におけるin vivoでの吸着動態を検討した。PAN膜においては, 水系基礎試験, 臨床試験ともに3時間目までFUTは膜に吸着され, 透析器出口側でのFUT濃度は著明に低下した。一方PMMA膜では水系試験では1時間目までFUTの吸着が観察されたが, 臨床試験ではFUTの吸着が認められなかった。CC膜ではいずれの試験においてもFUTの吸着はほとんど認められなかった。FUTはプラスの荷電性を有しており, マイナスの荷電性を有する透析膜に吸着されると考えられた。血液と透析膜接触後の透析膜表面における蛋白層の形成は, 膜素材により異なり, PMMA膜では臨床使用時のFUT吸着が消失したと考えられた。