人工臓器
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透析膜におけるFUT-175の吸着性の検討
中川 清彦稲垣 王子岩木 良太郎西庵 良彦平岡 敬介荘野 忠泰依藤 良一森頴 太郎藤田 嘉一
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1991 年 20 巻 1 号 p. 27-31

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抄録
FUTの透析膜への吸着性をpolyacrylonitrile(PAN)膜, polymethylmethacrylate(PMMA)膜, cuprammonium cellulose(CC)膜透析器を用いて, 同一条件下に水系におけるin vitroでの吸着と, 臨床試験におけるin vivoでの吸着動態を検討した。PAN膜においては, 水系基礎試験, 臨床試験ともに3時間目までFUTは膜に吸着され, 透析器出口側でのFUT濃度は著明に低下した。一方PMMA膜では水系試験では1時間目までFUTの吸着が観察されたが, 臨床試験ではFUTの吸着が認められなかった。CC膜ではいずれの試験においてもFUTの吸着はほとんど認められなかった。FUTはプラスの荷電性を有しており, マイナスの荷電性を有する透析膜に吸着されると考えられた。血液と透析膜接触後の透析膜表面における蛋白層の形成は, 膜素材により異なり, PMMA膜では臨床使用時のFUT吸着が消失したと考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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