人工臓器
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開心術後心不全に対するヘパリンコーティングチユーブとローラポンプを用いた補助循環法
斉藤 憲江口 昭治山本 和男諸 久永大関 一林純 一
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1991 年 20 巻 2 号 p. 337-341

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抄録

開心術後人工心肺離脱不能例及び重症LOS症例のうち薬物療法やIABPによる圧補助のみでは血行動態の改善しない13例に対しヘパリンコーティングチューブとローラポンプによる補助循環を行った。補助方式は左心バイパスが7例、右心バイパス1例、両心バイパス2例、V-Aバイパス3例で平均補助流量は0.8~3.2L/min(mean±SD, 2.1±0.8L/min)、補助期間は5時間~21日間(mean±SD, 103±128時間)であった。13例中8例(61.3%)が離脱に成功し6例(46.2%)が退院した。疾患別では虚血性炉弁膜症に比し離脱、生存率が高かった。補助期間は1~4日間の補助を行った症例が高い生存率を示した。退院した症例は11~39ヵ月のfollow-upを行い、NYHA心機能分類はI度が3例、II度が3例と良好な遠隔期の成績が得られた。脳塞栓症や溶血などの重大な合併症もなく、本法は開心術後の補助循環法として有用である。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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