1991 年 20 巻 2 号 p. 451-455
細胞内に含まれるATP, ADPおよびAMPなどアデニン類を定量する方法を、材料表面に粘着した血小板数を定量できるように改良した(ATP定量法)。本法の特徴としては、細胞中に含まれるアデニン類の分離定量法を利用しているため、検出感度が高く、操作が簡便で再現性に優れている。さらに血液中のタンパク質を簡単な操作で取り除くことができアデニン検出が妨害されないこと、材料の形状や性質にもとつく制約が少ないことなどの特徴を有し、各種材料の抗血栓性を定量的に評価する手段として利用できる。
著者らが新しい生体適合性材料として研究を行っている2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)共重合体表面と代表的ポリマーの表面における血小板の挙動をATP定量法で測定し、比較したところ、MPC共重合体上には血小板がほとんど粘着しないことが示され、SEMによる観察結果と一致した。