人工臓器
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基質設計による肝細胞の接着制御
―ポリリジン誘導体の構造・機能相関―
伊藤 広治野本 洋一赤池 敏宏
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1991 年 20 巻 2 号 p. 470-473

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抄録

医薬評価・ホルモン応答の解析等を目的とした肝シミュレーターや肝機能補助装置を開発するためには細胞接着基質材料の開発が必要不可欠である. 細胞を基質に固定化させる相互作用には疎水結合などの物理化学的結合である非特異的相互作用と, 細胞表面レセプターの関与する特異的相互作用がある. 本研究では, 主として肝細胞-基質材料間のイオン性相互作用に着目し, カチオン性ポリアミノ酸であるポリ-L-リジン誘導体を用いて肝細胞の培養初期における挙動を解析した.その結果, カチオン基導入率10~18の間に肝細胞の機能維持に最適なカチオン基密度があることが示された. また, このポリマーに対する肝細胞の接着性に及ぼす温度や二価カチオンの影響を検討した結果, この接着には複数の相互作用が関与していること, およびそれらがメジウム, 温度などの環境条件や時間に依存して変化することが示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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