1991 年 20 巻 3 号 p. 1004-1008
非観血的連続自動血圧計フィナプレスを用い、房室ブロックに対する心臓ペーシング例36例を対象に一拍毎の血圧を連続的に測定した。DDDペーシングで血圧変動はごく軽度であったのに対し、VVIペーシングでは、P波とQRSの時間的関係により血圧は周期的な変動を示し、その変動幅はレート70PPmにおいて、収縮期圧30.3±13.8mmHg(15~65mmHg)、拡張期圧10.2±5.9mmHg(5~25mmHg)、脈圧21.0±9.3mmHg(10~45mmHg)であった。レート100ppmでは70ppmの場合とほぼ同程度の血圧変動を示したが・レート50ppmでは変動幅は減少する傾向を示した。座位での血圧変動幅は仰臥位に比し、70ppmでは増大、減少、不変とまちまちであったが、50ppmでは減少する傾向を、100ppmでは増大する傾向を示した。このように、VVIペーシングでは血圧変動が予想以上に大きく、ペースメーカー症候群の予防と良好な心機能維持のためにはDDDペーシングが選択されるべきであると結論された。