人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
僧帽弁置換術後の残存MR症例における溶血とその推移について(とくにSt. Jude Medical弁を中心にして)
工藤 龍彦内野 敬長田 鉄也橋本 雅史小長井 直樹古川 欽一
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 20 巻 3 号 p. 1000-1003

詳細
抄録

St.Jude Medical弁(SJM弁)によるMVR後にperivalvular leakageのたあにSellers分類II度以下のMRが残存した6例について, 術後の溶血とその推移について検討した。6例中4例は術後早期に軽度の溶血性貧血を認めた。しかし, 退院時まで続いた貧血傾向と, LDH値の上昇などの異常所見はその後進行せず, 術後62.2ヶ月を経過した遠隔期ではむしろ改善される傾向にあった。
一方, 遠隔期における非MR例12例との比較においては, 血清Hpと動的赤血球膜物性検査では両者間に差がなかったが, 血清FHbでは残存MR例の方が若干増加していた。
したがって, MVR後にMRが残存しても, 溶血が進行性でなく, またMRによる心機能の低下が問題とならなければ対症療法にて長期間観察することも可能であり, 溶血も徐々に改善されるものと思われた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top