人工臓器
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Automatic Implantable Cardioverter Defibrillator (AICD)による致死性頻脈性心室性不整脈の外科治療―適応と問題点を中心に―
椎川 彰小柳 仁遠藤 真弘林 和秀山崎 健二
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1991 年 20 巻 3 号 p. 1023-1027

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抄録

致死性頻脈性心室性不整脈を呈する症例に対しAICD(植え込み型除細動器)による治療経験を得たので報告する。本器(Ventak P)はrate sensing, morphology sensingの2つの独立したchannelにより不整脈を検出し放電を行う。適応とした不整脈はVF3例, VT/VF1例, VT1例の計5例で4例に心蘇生の既往, 2例に高度心機能低下を認めた。感知電極は心筋電極, 除細動電極はパッチ電極を選択し, 除細動域値測定のため1~6回の細動誘発を行った。術後のAICD作動状況は2例は自然VT/VF発作に, 3例は誘発されたVFに対し有効に作動することを確認した。合併症として低心機能例に除細動域値測定直後にVTVFの重積を認め補助循環を要し, 2例に術後VT重積, 2例に誤放電, 2例に心膜炎, 2例に放電時不快感を認めた。
AICDによる致死性不整脈治療は十分期待できると考えられたが, 手術侵襲, 誤放電, 放電時不快感など問題点も残されており慎重な適応の判断と経過観察を要すると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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