1991 年 20 巻 3 号 p. 1081-1086
現在, 心臓手術の補助手段として日常臨床に用いられている人工心肺装置や, 循環呼吸補助を目的とする比較的長期にわたる体外循環の制御は, そのほとんどが手動で行なわれている。我々は, 生体側パラメーターを制御する体外循環自動制御の手がかりの一つとしてファジィエキスパートシステムに注目し, 今回これを応用して先ず膜型人工肺送血側酸素分圧(PaO2)の制御を試みた。
血液ガスセンサーからの情報をフィードバックして, 膜型人工肺送気ガスの酸素濃度によりPaO2を制御する制御規則を構築し, 雑種成犬に適用したV-A bypass下に制御を行なった。その結果, 主たる外乱である, 人工肺通過血流量や温度変化に対しても良好な制御が得られた。
本システムは体外循環を, より生理的に行なう上で必要と考えられる自動制御を実現する一つの糸口になると思われた。