1991 年 20 巻 3 号 p. 1105-1109
気泡型人工肺Bentley-10 plusを開心術例10例(B群)に用い、そのガス交換能と血液損傷につき、外部灌流型膜型人工肺Mera Excelungを用いた10例(E群)と比較検討した。中等度低体温法を併用した無血充填希釈体外循環とし、ガス分析は連続的にalpha-stat法によって測定した。充填量はB群が有意な低値を示した。両群とも体外循環中の全時相において、PaO2とPaCO2とを独立してほぼ目標値の範囲内に良好に制御することが可能であった。血小板保存率と血漿遊離ヘモグロビン増加率においては、両群間に差を認めなかった。以上よりBentley-10 plusは、易操作性、低充填量という従来の気泡型肺の利点に加え、血液への影響を低減し、PaO2とPaCO2との独立した制御を可能にした新しいタイプの気泡型人工肺と考えられた。