人工臓器
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ベントレー社製気泡型人工肺BEN-10PLUSの臨床使用経験
佐藤 浩樹小松 幹志杉本 智木村 希望数井 暉久安倍 十三夫小松 作蔵
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1991 年 20 巻 3 号 p. 1110-1113

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抄録

ベントレー社にて、新しく開発された気泡型人工肺BEN-10PLUSを成人開心術16例に臨床応用した。本肺は、本体の頂上に設置されたPO2コントロール・バルブを調節することによって、人工肺に流入する酸素ガスを、気泡混和部分と熱交換器上のフィルム型部分の2経路に分配することができる。これらの比率を変化させ、適切なPCO2を保ちながら、気泡化を必要最小限に抑え、PO2の適正な調節と溶血の抑制が可能である。また、従来の気泡型肺に比べ、充 量も少なくなっている。体外循環中の血液ガス分析では、良好な酸素加が得られ、とくに、再加温時にもPO2コントロール・バルブを調節することによって、CO2の過剰排出なしに十分な酸素加が可能であった。血液成分に対する影響では、血小板指数は有意な減少を示さなかった。単位時間あたりの、血漿遊離ヘモグロビン上昇率は、0.41±0.24mg/dl/minであった。操作性も良好で、本肺は十分臨床使用に耐えうる人工肺と思われる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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