抄録
ヘパリン化人工肺、回路において、基材表面へのヘパリン固定量の増加による抗血栓性向上の検討を行った。基材へのアミノ基導入量を増加させること等により、表面ヘパリン結合量は従来法に比較し1.8~5.7倍と増加し、in vitro評価においても抗凝固活性の持続性が大幅に向上した。またこれらのヘパリン化表面の血小板への反応も軽微であった。そこで改良固定法を用い、人工肺、回路にヘパリンを固定し、24hrノンヘパリンA-Vバイパス評価を行った。その結果、循環中血小板の減少もほとんどなく、ACTも初期の余剰ヘパリン溶出による僅かな上昇以外、正常値での循環が可能であった。また循環終了時においてもファイバーの閉塞、血栓の形成等はほとんど見られなかった。以上より抗血栓性の向上が確認された。