人工臓器
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胸部下行大動脈瘤手術における補助手段の検討(シャントチューブと遠心ポンプ)
小野口 勝久川田 光三四津 良平南雲 正士高橋 隆一志水 秀行川田 志明
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1991 年 20 巻 3 号 p. 711-714

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抄録

シャントチューブ法により手術を行なった胸部下行大動脈瘤18例に対し心機能に影響を及ぼす術前の危険因子につき検討した。心機能に与える影響として1)シャント開始後から術後にかけてのST-T変化, 2)シャント中持続する低心拍出状態(CI<2.0l/min/m2)を仮定したところ、年齢が65歳以上であること、有意の冠動脈病変が存在すること、の2者を危険因子と見なせることが分かった。この経験をふまえ胸部下行大動脈瘤17例に対し遠心ポンプを補助手段として手術を行なった。17例中65歳以上は6例冠動脈病変を有するものはなかった。この中で有意のST-T変化を認めたものはなく、心拍出量を測定し得た6例(65歳以上4例)に低心拍出状態は認めなかった。17例を脱血経路の違いから3群に分けたが(左房、上行大動脈、下行大動脈)何れの手段も前負荷または後負荷の調節から血行動態の維持は容易であったものの左房脱血群におけるバイパス終了時の心不全傾向、上行大動脈脱血群における大動脈遮断中の拡張期動脈圧の低下には注意を要すると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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