人工臓器
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左室腔内植え込み型の小型軸流ポンプを用いた新しい補助人工心臓の考案
山崎 健二北村 昌也椎川 彰江石 清行川合 明彦野尻 知里遠藤 真弘小柳 仁
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1991 年 20 巻 3 号 p. 705-710

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抄録

小型軸流ポンプを用いたシンプルな左室腔内植え込み型の新しい補助人工心臓を考案した。ポンプは左室心尖部より左室腔内に挿入して使用する補助人工心臓であって、左室腔内にあるポンプ部と、心尖部の外側に位置する駆動部とから構成される。ポンプ部はモーター軸と直結する螺旋状のスクリューと円筒状の外筒部分からなる。外筒の基部には血液取り入れ口が開いている。血液流出口の先端はやや細くなり、大動脈弁を貫通し上行大動脈に開口している。ポンプはスクリュー回転の推進力により、血液を左室腔より吸入し上行大動脈に吐出する。ポンプ機能試験では電圧4Vで100mmHgの後負荷に対して2.21/minの流量を得た。成犬を用いた動物実験ではポンプ挿入にて左室-大動脈間に圧較差は生じず、ポンプを作動させることにより不全心の心拍出量を0.401/min→0.641/minに改善させた。左室切開による解剖学的検討ではポンプ流出管はスムーズに大動脈弁を貫通し、ポンプ本体もmitral complexの機能にはほとんど影響しないことが示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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