人工臓器
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挿入側下肢血行障害予防のための大動脈内バルーン用シースの工夫
吉岡 行雄筒井 宣政
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1991 年 20 巻 3 号 p. 802-805

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抄録

IABPによる合併症のひとつである下肢の血行障害を予防する目的で、シースに関する二種類の方法を考案した。1. Implant Aid lead Introducerを通常の方法で大腿動脈に挿入し、バルーンを挿入後シースを二つに裂いてカテーテルから抜去すると、カテーテルのみが動脈内に留置された。13例の使用経験では下肢動脈の合併症の発生はなかった。2ヘパリン注入用側管付きシースを通常の方法で大腿動脈に挿入し、バルーン挿入後、側管よりヘパリンを注入した。ヘパリンはシース先端から血中に入るため、下肢動脈に選択的に投与された。側管からの造影剤注入により下肢血行は保たれていることが確認された。硬化性病変が強く、バルーンにより血行が途絶され足背動脈の触知不能となる症例では1の方法が病変が軽度で、大腿動脈は触知するが血流が減少し血栓形成が予想される症例には、2の方法が推奨されると考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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