人工臓器
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実験動物の無拍動流体循環への生理学的適応過程の検討
妙中 義之巽 英介榊 雅之佐々木 栄作中谷 武嗣赤城 治彦関井 浩義矢倉 明彦後藤 昌弘増澤 徹松尾 義昭井上 和重高野 久輝
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1991 年 20 巻 3 号 p. 823-828

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抄録

無拍動流体循環への動物の生理学的適応過程を検討するために、成山羊5頭を用いて慢性動物実験を行なった。国立循環器病センター型補助人工心臓を左房左室脱血、大動脈送血による100%バイパスができるように装着し、2週間後に覚醒下に遠心ポンプ(MD-10、イワキポンプ)にすばやく取り替え、平均大動脈圧を無拍動流化前後で一定に保つように駆動した。その結果、体循環を無拍動流化しても拍動流時と比較して、右房圧、灌流量、全末梢血管抵抗、全身酸素消費量、血清乳酸値、血中カテコラミン値(アドレナリン値およびノルアドレナリン値)、血漿レニン活性、血漿アンギオテンシンII値、血漿アルドステロン値、には変化はみられず、また、volume負荷の必要もなかった。以上より、体循環の無拍動流化に対して、動物は速やかに生理学的に順応すると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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