1991 年 20 巻 3 号 p. 835-840
左心室圧-容積曲線から得られる外仕事量及びPVAの変化から、VAD駆動下に自然心機能の評価を行なう方法の確立を試みた。成山羊6頭にLVADを装着し、左室内に容量計測用のコンダクタンスカテーテルとカテ先圧力センサーを留置し、左心室圧-容積曲線を得て、種々のVAD駆動条件下での自然心の外仕事量、Emmax及びPVAを独自に開発した自動制御システムと血行動態推定監視システムを用いて計算した。その結果、拡張期駆動から収縮期駆動への変化による左室流出路負荷の増加に対して、自然心の外仕事量が有意に減少し、PVAが有意に増加した。また、今回開発したシステムにより変力作用をもつ薬物を投与した際の心機能を評価したところ、心機能の変化が鋭敏に反映されることが証明された。従って、VAD駆動位相制御による自然心機能の検討は、VAD駆動中及びVADからの離脱時の心機能の評価に有用な方法であると考えられた。