1991 年 20 巻 3 号 p. 865-868
補助人工心臓は有用な補助循環法であるが、駆動陰圧の調節により補助循環流量を変化させて、左房圧を一定に保つには相当の熟練を要する。左房圧を検知し、これを予め設定した左房圧設定値と等しくなるように、駆動陰圧を自動制御し補助循環流量を自動的に変化させる空気圧駆動システムを開発し、実験的検討を行なった。駆動装置は自動制御モードとして、生体から検知した左房圧を予め設定した左房圧と比較し両者が等しくなるように、駆動陰圧の減圧弁の調節により駆動陰圧を増減させ補助循環流量を自動制御する機構を有する。モックサーキュレーションを用いたIN-VITRO実験でも、大型犬を用いたIN-VIVO実験においても、左房圧を予め設定した値に一致させること、血行動態の変化に対して左房圧を元の設定値に戻すことが自動制御により可能であることが明らかになり、補助人工心臓駆動の簡便化に有用と考えられた。