RVADにウリナスタチンを併用した場合の肺および全身臓器に及ぼす影響について実験的に検討した。血行動態的には、ウリナスタチン併用の有無にかかわらず心不全作成により低下した大動脈圧、心拍出量はRVADにより回復した。しかしながら細胞破壊にともない逸脱してくる穎粒球エラスターゼは、ウリナスタチン併用時にはRVAD駆動3時間後も対象値と同じレベルまで抑制されたのに対して、非使用時には上昇し続け、細胞破壊が進行していることが示唆された。また、心不全時にうっ血、浮腫が著明になった肺組織像はRVADを単独に使用すると血行動態の安定と共にうっ血所見は若干軽減するも正常化するには至らなかった。しかし、ウリナスタチンを併用すると肺はほぼ正常像を呈し、これらは血管外肺水分量の検討からも明らかになった。RVAD時に起こりうる肺うっ血ならびに末梢臓器の虚血性変化はウリナスタチンでかなり抑制できることが示唆された。