1991 年 20 巻 3 号 p. 875-882
経皮的体外循環用カニューラを利用した心肺補助(Percutaneous Cardiopulm onary Support, PCPS)は、心原性ショックに対する循環補助、心停止に対する心肺蘇生として、迅速かつ簡便に流量補助が可能である。我々はこの利点を生かすべくシステムを考案し、今回、IABPに対しても抵抗性の循環不全を呈した2例と、cadioversion不応性の心室粗細動に対し心肺蘇生を施行した1例、計3例の劇症型心筋炎に対してこれを応用し、救命することができた。
重篤な循環不全、および致死的な不整脈を発生するような急性心筋炎においては、短期間で心筋病変の回復する可能性が大きいため、薬物、IABPに対しても抵抗性を示すようであっても、PCPSで極期を乗り切れる場合がある。経皮的体外循環用カニューラは出血も少なく、挿入部末梢側の血流も保たれ、十分な脱血量が得られた。