1991 年 20 巻 3 号 p. 899-903
今回我々は雑種成犬15頭を用い、術後体外循環離脱困難にてventricular assist system(以下VASと略)を必要とするような不全心のモデルとして、常温下45分間大動脈遮断による重篤な虚血心を作成し両心補助を行い、左心機能及び左室心筋ミトコンドリア機能の検討を行った。常温下45分間の完全な虚血により重篤な両心不全に陥ったが、両心補助循環にて全身の循環の維持は可能であった。虚血後の血行力学的左心機能は、虚血解除後1時間にて有意な回復を認めたが、2時間、3時間後の回復は有意なものでなかった。左室心筋の2種類のミトコンドリアの生化学、形態学的機能は45分間の虚血により有意に低下し、BVAS (Biventricular assist system)2時間40分間の補助により回復傾向にあった。従って、VASはエネルギー産生源であるミトコンドリアの機能回復に寄与していると思われた。