1991 年 20 巻 3 号 p. 952-954
Omnicarbonによる大動脈弁置換術(21mm弁6例, 23mm弁9例)に対し, 遠隔期に心臓カテーテル検査を施行し, 開放角低下の要因を血行動態の面から検討した。圧較差は21mm弁平均25mmHg, 23mm弁平均14mmHg, 血流量は21mm弁平均225ml/sec, 23mm弁平均214ml/sec, 弁口面積は21mm弁平均1.04cm2, 23mm弁平均1.36cm2であった。平均開放角(MOA)は21mm弁平均64度, 23mm弁平均64度であった。
血流量と平均開放角の間に明かな正の相関が認められ, 血流量の減少に伴い平均開放角の低下が認められた。しかし圧較差は平均開放角の低下に伴いむしろ減少を示し, 弁口面積の低下は極めて軽度にとどまった。以上の結果から平均開放角50度以上においては, 開放角の低下は血流量の減少に伴う可逆的な現象であり, 弁口面積の低下が臨床上問題になる可能性は少ないと考えられた。