人工臓器
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植え込み型除細動器(AICD)による致死的不整脈の治療経験
相馬 康宏四津 良平高橋 隆一古梶 清和田口 真一工藤 樹彦小田口 浩桜井 義也川田 志明
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1992 年 21 巻 1 号 p. 109-112

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抄録

VTあるいはVFからの蘇生例に用いられたAICDについて、その使用経験を報告する。
対象は米国植込み3例を含めた6例、7台である。心臓に関する基礎疾患は心筋梗塞2例、心筋梗塞+左室瘤1例、大動脈弁閉鎖不全1例、primary electrical disease 2例であった。適応とした不整脈はVT 4, VF 2例で、全例心肺蘇生術の既往があった。VTは4例ともに多剤抵抗性であった。VF 2例は薬剤抵抗性については判定不能であったが、蘇生術の既往からAICDの適応とした。VTに対する放電は1例のみであった。術後合併症は皮膚の圧迫壊死、電極の断線、胸水貯溜、generatorの不活性化の各1例と誤作動2例を認めた。手術死亡はなく、5-40ヵ月、平均22ヵ月の観察期間中には不整脈死は認められなかったが、2例が26ヵ月、40ヵ月目に脳血管障害で死亡した。VFの1例は断線と電池消耗で29ヵ月目に再手術を受けた。AICD植込み手術は手枝的に容易で、侵襲も少なく、有用な方法と思われた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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