人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
21 巻 , 1 号
選択された号の論文の67件中1~50を表示しています
  • 下条 文武
    1992 年 21 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 酒井 清孝
    1992 年 21 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工臓器は医と工の連携が医療にもたらした最大の恩恵の一つと言えよう。人工臓器の実用化が治療法の多様化、患者の延命などに大いに貢献したのは事実だが、さらに医学に新しい治療概念を導入したことも見逃せない。新しい発見が往々にして発想の転換から生じるのは医学においても例外ではなかろう。現代医療の発展には目ざましいものがあるが、これは医工学に負うところが大きいといっても過言ではあるまい。そしてこの医工学の発展は医と工の連携なしにはあり得なかった。しかしこれまでの医と工の連携は必ずしも理想的とは言えない面もある。そこで今後人工臓器の一層の発展を期待するならば、医と工の新たな連携の樹立が急務であろう。
  • 増澤 徹, 高野 久輝
    1992 年 21 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    “医”と“工”の間のコミュニケーション不足および人工臓器開発の特色からくる現状の連携における問題点について考察した。当施設における研究例を挙げ、“医”と“工”の理想的な連携を探り、より多くの省庁、大学等の工学系研究者の人工臓器分野への参画の必要性を述べた。理想的な連携を確立するために、人工臓器学会に対して以下のことを提案した。(1)“医”と“工”双方にとり魅力ある研究領域の育成。(2)“医”と“工”のディスカッションの場の提供。(3)新しい人材の発掘。今後、人工臓器学会がその特色を活かし、より高度の“医”と“工”の連携を生み出すことにより人工臓器の開発、研究に新しい息吹を吹き込むことに期待する。またそれが強いては境界領域から人工臓器という専門領域への移行にもつながる道と考える。
  • 河村 剛史, 福井 康裕
    1992 年 21 巻 1 号 p. 11-12
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 谷 徹, 沼 謙司, 阿部 元, 吉岡 豊一, 青木 裕彦, 松田 孝一, 遠藤 善裕, 花沢 一芳, 小玉 正智
    1992 年 21 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ポリミキシンB固定化繊維をアイデアの段階から企業と開発する経験を得た。この体験から我々医療サイドと工学サイド(主に企業)の医療材料開発における連携について検討した。医と工といった異分野の出会いは必須の条件であるが、現実には新しい材料、開発の着想から、研究、開発、製品化までほとんど全てを企業側がなし得る。医療サイドが関与できるのは、特権的な臨床経験からのアイデアと臨床治験以降の患者への応用段階のみである。
    大学や公的な研究機関の復権を目指すならば、臨床から生まれるアイデアに対する権利の認識と研究段階に必要な設備、人員、経済的補助が飛躍的に改善される必要がある。又、一つの新材料を生み出すには、熱心で、材料の完成を疑わない両サイドの研究者と、製品化に向けて、新材料研究を押し進める企業人リーダーが必要である。
  • 葛西 眞一, 水戸 廸郎
    1992 年 21 巻 1 号 p. 16-19
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肝臓は極めて複雑な機能を有する臓器であり、重篤な機能不全の予後は今日なお不良である。この機能不全に陥った肝臓の機能を人工的に補助しようとする試みは、1914年のAbelによる血液透析や血漿交換の実験研究を嚆矢とする。著者らも1950年代の末頃から、生体材料としての凍結乾燥肝顆粒を代謝のリアクターとした生物学的人工肝の研究を続けてきた。1970年代になって、いわゆるbiotechnologyの進歩を背景に人工肝の研究が盛んとなり、1979年には肝機能補助装置のナショナルプロジェクトがスタートし、著者らも遊離肝細胞を用いた代謝機能補助部門を担当することになった。工学サイドとしては、企業および大学の研究者、医学サイドとしては、主に人工肝研究に携わる医師が参加した。約6年間の研究の歩みを振り返りつつ、人工臓器開発における共同研究について若干の考察を加えた。
  • 森岡 亨
    1992 年 21 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ECMOに関するシンポジウムの基調講演として、人工心肺発展の歴史に始まり、呼吸・循環管理へ応用された経緯、ECMOほか類似の頭字語のいわれ、基礎的研究として各種回路や人工肺の選択、出血防止の方法、を論じた。
    各国における臨床例の統計的趨勢、自験例の中からの興味ある心・肺補助例、脳蘇生例の紹介の後、我々が考えているECMoの適応、および安全な遂行のために必要な留意点、将来の見通しなどについても述べた。
    我々の症例は、生後7時間の新生児から76才の高年齢者にわたる43例である。ECMO用人工肺としては、外部潅流型中空糸肺で、緻密膜でできているものが安全で長期使用に耐える。ヘパリンの共扼結合をさせた体外循環装置は出血防止に極めて有効である。ECMOは、有力な心肺脳蘇生法、生命維持法となりうるので、事故現場の何処ででも使用できる携帯用、手動式回路の実用化も進めている。
  • 北川 博昭, James B. ATKINSON, 川田 忠典, 舟木 成樹, 小山 照幸, 中田 幸之介, 山手 昇
    1992 年 21 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1987年1月から1990年6月までに, 米国ロスアンゼルス小児病院において160例の新生児重症呼吸不全患児にV-A方式でECMO治療をおこなった。対象疾患は, 胎便吸引症候群76例, 呼吸窮迫症候群24例, 横隔膜ヘルニア21例, 肺炎及び敗血症31例, 心疾患4例, その他4例であった。適応基準はOxygenation Index>40とし, 種々の薬物治療に反応せず, 呼吸器治療の限界と考えられた症例も適応とした。ECMO開始時間は平均生後45時間であり, 横隔膜ヘルニアのみ平均18時間で, 早期からECMOを必要とした。また平均ECMO使用時間は125時間であった。全体の生存率は84%であり, このうちの92%に新生児原発性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertention of the newborn (PPHN))を認めた。疾患別生存率では, 横隔膜ヘルニアの67%と敗血症の68%とが平均値を下回った。これらの結果から従来の呼吸管理法によっては救命不可能と考えられる重症呼吸障害患児に対し, ECMO治療は有用であり, 特にPPHNを伴う呼吸不全患児には極めて有効と考えられた。
  • 瀬尾 孝彦, 伊藤 喬廣, 飯尾 賢治, 加藤 純爾, 高木 啓之
    1992 年 21 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小児Extracorporeal Membrane Oxygenation (ECMO)の安全性と管理の簡便化を目的に、空気駆動サック型拍動流ポンプである高木式ポンプを用いた自動ECMO装置を開発してきたが、より完成度の高いモデルを作製した。ポンプは血液室の破損時に空気が混入しないように、血液室と空気室の間に生理食塩水を介在させた。駆動制御装置も、ポンプの拍出のタイミングの設定を自動化したこと、ECMOのweaning時に便利なように“delay”機構を導入し、容易に流量変更が可能となった。また、Mock回路での48時間後のfree-Hbはローラーポンプの3分の1と血液学的にも優れていた。一方、Venoarterial ECMO (VA-ECMO)の生体に対する反応の一つとして循環動態への影響を検討した。ECMO流量の増加により両心室拡張末期圧の上昇、左室収縮期圧と末梢収縮期動脈圧間の較差の出現、心拍出量と冠血流量の減少等の所見が得られ、流量の増加により心への負担が増加することが示された。
  • 寺崎 秀則, 大津 哲郎, 岡本 泰介, 赤須 弘幸, 森岡 亨
    1992 年 21 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    膜型人工肺と部分体外循環による生命維持法(extracorporeal life support, ELS)の出血防止と簡便化の研究並びに臨床成績について報告した。ヘパリン結合の緻密膜中空糸外部潅流式人工肺と回路による長期ELS(V-Aバイパス、ヤギ)では、ヘパリン投与量(23.4±4.2U/kg/hr、mean±sd、n=5)は従来の方法の半分以下に減少した。ヘパリンの代りに大量のNafamostat mesilate (FUT, 7.3±0.8mg/kg/hr、mean±sd、n=7)投与で、イヌのELSを実施できた。ヘパリン結合人工肺ならびにFUTは、患者の出血防止に有効であった。ELS簡便化のため予め充填保存し、電気や動力ポンプのいらない手動体外循環法を開発した。1年充填保存後も人工肺のガス交換能は維持された。ELS症例は43例で、その内訳は呼吸補助26例(新生児9例、小児・大人17例)、循環補助17例、救命率は46%であった。ELSは優れた生命維持法である。これを発展させることにより有効な治療法となる。
  • 妙中 義之, 中谷 武嗣, 赤城 治彦, 増澤 徹, 高野 久輝
    1992 年 21 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来の治療法の限界を超えた重症心不全に対する各種人工心臓を用いた治療の成績向上のために、人工心臓システムの改良と開発の面から検討した最近の我々の研究について述べる。一時的使用補助人工心臓では、左心補助人工心臓での経静脈経心房中隔的左房脱血管挿入法と、患者の自己心の拍出動態を動脈圧波形と補助人工心臓からの拍出流量波形に基づいて計測する方法を開発した。また心移植へのブリッジ使用用として左室心尖脱血式の腹腔または腹壁内埋込型空気駆動式補助人工心臓と空気駆動式全人工心臓を開発している。また、心臓置換の適応患者の救命のために、血液ポンプとアクチュエータを分離して植え込むエレクトロハイドローリック式完全体内埋込型全人工心臓システムの開発も行なっている。さらに、各種補助循環用の耐久性と抗血栓性に優れた遠心ポンプの開発と改良も進めている。これらの研究により人工心臓を用いた治療成績が向上すると考えられた。
  • 成瀬 好洋, 金子 幸裕, 高浜 龍彦, 幕内 晴朗, 松永 仁, 古瀬 彰, 杉浦 清了, 原田 和昌
    1992 年 21 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    重症心不全の治療体系におけるdynamic cardiomyoplastyの可能性を動物実験の結果をもとに検討した。犬を用いた急性実験では、広背筋の同期収縮により一回拍出量の明らかな上昇が得られること、Emaxの増加が認められることから骨格筋の収縮力は左室の収縮能を向上させる能力を有し、心機能補助が可能であることが示された。また拡張期末容積の有意の上昇は認められず、骨格筋の収縮自体が左室拡張期特性に大きな影響をもたらすことはなかった。広背筋縫着後3ヶ月以上電気的刺激を行った慢性犬モデルにおいても骨格筋の同期収縮は急性実験と同様な効果が得られた。縫着した広背筋は心室周囲に癒着しており、一部に線維化が認められたものの健常な筋線維が残存していた。
    dynamic cardiomyoplastyは心拡大の進行を防ぐ可能性をもち、重症心不全患者の治療に有効であるが、適応及び手術時期は十分に検討する必要があるものと思われる。
  • 古梶 清和, 四津 良平, 相馬 康宏, 田口 真一, 相馬 康宏, 工藤 樹彦, 木曽 一誠, 前原 正明, 三田 村好矩, 川田 志明
    1992 年 21 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    過去7年間における開心術又は、胸部大動脈瘤の術後重症心不全22例に対し、VASによる補助循環を行った。このうち長期生存例は2例であった。3日間以上VASを駆動した7例は安定した血行動態下にもかかわらず、6例がMOFとなり失った。VAS開始までの間にすでに他臓器が障害されていた可能性があり、今後心臓移植や埋込み型人工心臓へのVASのbridge useを考えると、より早期からの適用が必要であると考えられた。VASとして遠心ポンプの充分な補助流量に注目し、VASから一歩進んで恒久的使用が可能なValvo-pumpを開発中である。これは自然心をreservoirとし、ポンプ機能を弁輪部に埋込んだ軸流ポンプにより代行させるものである。VASの心臓移植へのbridge useとして、Donor心への適応を考えた。脳死犬モデルの実験では、Emaxで比較するとVASによる補助効果があると考えられ、Donor心に対するVAS利用の可能性が示唆された。
  • 江石 清行, Robert L KORMOS, 小柳 仁, Bartley P GRIFFITH
    1992 年 21 巻 1 号 p. 59-67
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Novacor左心補助人工心臓(LVAS)植え込みを行った5例において, 経食道エコーとカテ先血圧計を用いた右室圧-断面積関係から右心機能の変化を調べた。LVAS植え込み後, 3例(Group A)は十分なポンプ拍出量を維持したが, 2例(Group B)は, 右心の一時的機械補助を必要とした。Performanceの指標とした仕事量-拡張末期断面積関係の傾きはGroup Aにおいて10.7mmHg(mean)から18.8へと改善したが, Group Bでは11.5から3.8へと減少した。拡張機能の指標とした拡張末期圧-断面積関係は両Groupにおいて下降し, 改善を示した。また全例において後負荷としての最大右室圧は著明に減少した。収縮機能の指標としたaEmaxはGroup Aにおいて2.53mmHg/cm2から3.70と増加し, Group Bでは3.8から3.6へと減少した。LVAS後, 右心室の拡張機能の改善, および右心後負荷の著減による仕事効率の改善が著明であった。右心不全の原因としては主に収縮機能の低下が示唆されたが, 急性期を乗り切った症例では, 経過とともに改善傾向を示し, LVASの本質的影響とは考えられなかった。
  • 宮本 裕治, 中埜 粛, 白倉 良太, 中田 精三, 金香 充範, 西村 元延, 松田 暉
    1992 年 21 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当院における心移植待機症例での補助循環適応の可能性を検討するとともに、これまでの開心術後の心室補助の経験から心移植へのブリッジとしての補助循環の問題点を検討した。大阪大学心臓移植適応検討会で検討した20例を対象とし、待機中に心不全で死亡した6例とその他の14例を比較した。検討会の時点における左室駆出率(EF)・心拍出量(CI)・心室サイズでは両者間に有意差はみられなかったが、死亡群では全例(6/6)で検討会までにカテコラミンを要していたのに対しその他では2/14のみであった(p<0.01)。以上より心移植待機症例では、EFやCIから経過中の死亡を予想するのは困難であったが、カテコラミンを要するようになれば補助循環の適応を考慮に入れる必要があると考える。1984年以降、開心術後の心室補助は23例経験した。その主な合併症は出血9、血栓(脳梗塞)3、右心不全2、感染1であり、これらがブリッジとしての心室補助でも問題になると思われる。
  • 葛西 眞一
    1992 年 21 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    病気は、体内に蓄積した有毒物質に起因するという考えは古くヒポクラテスの時代からあり、その予防と治療に瀉血という技術がすでに存在していたという。近代医療における血液浄化法の試みは、1914年Abelのコロジオン膜を用いた血液透析あるいは遠心型の血漿分離などを嚆矢とする。今日では、血液浄化法として、透析、濾過、吸着、血漿分離などの技術が用いられ、血液中の有害物質を除去する治療法が広く臨床的に行われている。しかしながら、血中の有害物質は、各種病態により異なり、また、いまだ同定されていない物質も残されている。腎不全に対する血液透析でさえ、高分子物質の蓄積による障害がようやく明らかになりつつある段階である。本文では、血液浄化法の歴史を述べた上で、その現況と問題点について概説する。
  • 金森 敏幸, 酒井 清孝
    1992 年 21 巻 1 号 p. 77-82
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在実用化されている血液浄化技術は多岐に渡るが、これらを化学工学の立場で捉えると、ほとんどが分離精製技術の範疇に入る。分離精製技術は不均一系に適用される機械的分離操作と、均一系に適用される輸送的分離操作及び拡散的分離操作に分類される。血漿に溶解した溶質を除去する場合、輸送的分離操作である限外濾過あるいは拡散的分離操作である透析または吸着が用いられる。限外濾過、透析では分子直径と細孔形状で溶質除去性能が決まるため、選択性や鋭い分画特性を発現せしめることは難しい。一方、吸着では分子直径と細孔形状に加え、吸着材表面での吸・脱着特性によって分離特性が決まるため、優れた選択性を付与することができる。血液浄化法では、これらの原理を単一で用いることは少なく、分離特性は用いる原理の組み合わせによって決定される。
    今後の血液浄化法では、分離媒体とのaffinityを利用した高選択性の実現が望まれる。
  • 飛田 美穂, 渡辺 順, 田中 克巳, 常見 恵子, 飯田 宜志, 平賀 聖悟, 佐藤 威
    1992 年 21 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1981年1月1日より1990年12月31日までの10年間に経験した血液浄化法施行薬物中毒患者82例を対象として薬物中毒に対する血液浄化法の有用性につき検討を加えると共に、5例のCDDP療法施行悪性腫瘍合併透析患者および、1例のメルファラン大量療法施行悪性黒色腫に血液浄化法を行い、その有用性につき検討し以下の結果を得た。
    1)急性薬物中毒に対する血液浄化法は意識、呼吸、血圧などのバイタルサインの改善に有効であった。
    2)農薬中毒に対する活性炭吸着療法(以下DHPと略す)は血漿農薬濃度の低下、バイタルサインの改善に有効であった。
    3)パラコート中毒に対するゴリテリー,ケイキサレートおよびマグコロールによる持続的腸洗浄および、血漿交換(以下PEと略す)に続く持続的DHPは救命率の改善をもたらした。
    4)抗悪性腫瘍剤治療施行患者への血液浄化法の応用は副作用防止に有効であった。
  • 由良 高文, 湯浅 繁一, 高橋 則尋, 内田 光一, 田中 秀樹, 山本 徳寿, 青野 正樹, 国宗 由美子, 藤岡 宏, 隅蔵 透, 万 ...
    1992 年 21 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来の動注癌化学療法の有効性をさらに高めるため, 動注に血液浄化法を併用したdrug delivery systemを臨床応用した。対象は婦人科領域の悪性腫瘍患者で, Cis-diamminedichloroplatinum (II) (シスプラチン)の選択的動注療法を血液透析(HD)併用下に行い, その有効性につき本剤の体内動態および副作用の発現の面から検討した。その結果, HDにより同一時間内の腎排泄の約3倍の蛋白非結合型シスプラチン除去が得られ, area under the time-concentration curveの減少, 最高血中濃度の低下, α相の半減期の短縮を認めた。また, 全身および局所の重篤な副作用もなく, 通常の2倍以上の投与量の動注が可能であった。特に, 本剤の重要なdose-limiting factorである腎障害の軽減効果が認められ, 本療法が, 腫瘍局所への投与量増加と全身の副作用の軽減を可能とする優れた抗癌治療法であることが示された。
  • 石井 正徳, 近藤 治郎, 野一 色泰晴, 梶原 博一, 孟 真, 市川 由起夫, 鈴木 伸一, 磯田 晋, 山崎 一也, 小菅 宇之, 松 ...
    1992 年 21 巻 1 号 p. 94-99
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小口径人工血管に必要な抗血栓性を賦与する方法として, 人工的抗血栓性, 天然の抗血栓性の2通りが考えられる. 我々は長期の安定性を考えると後者が有利であると考えている. 人工血管に天然の抗血栓性を賦与するには人工血管内面全体にわたる内皮細胞の被覆が必要であり, その方法として我々は自家静脈細切片播種方法を開発した. しかし小口径人工血管にこれを応用すると組織細切片内のコラーゲンのもつ高い血栓性のために人工血管は閉塞する. この欠点を抑えるため, 組織片にヘパリンを絡めることにより, コラーゲンの血栓性を抑えた組織細切片播種人工血管を作成した. 方法は, まず成犬の頸静脈を採取し, 剪刀で細切し, ヘパリン加生理的食塩水に入れて組織浮遊液を作った. これを内径4mmの高有孔性布製人工血管に圧入し人工血管を作成した. これを成犬の頸動脈に移植した. その結果, 術後244日目の血管造影で開存が確認されたものを含め全例開存した.
  • 冨澤 康子, 野一 色泰晴, 大越 隆文, 小柳 仁
    1992 年 21 巻 1 号 p. 100-103
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    冠動脈バイパス術用グラフトの開発を目的としてウシ動脈を親水性化合物であるエポキシ化合物で架橋処理し、内面をヘパリン化し抗血栓性を持たせた小口径代用血管(Heparinized Bovine Graft, HBG)を作成した。またその物理・生理学的性質を評価し、植え込み実験において市販の代用血管と比較検討した。作成したHBGは白色で、柔軟性に富み、市販のBioflow (BF)よりも高いPercent Tanningであり、Kink ResistanceおよびSuture Retention Strengthにおいてもより優れていた。植え込み実験をHBG, BFおよびGore-Tex (GT)を用いて行ったがHBGは扱いやすく、針穴からの出血も少なく、抗血栓性に優れていた。3ヶ月後に試料を採取し評価したがHBGは内面平滑で白色を呈していた。エポキシ処理ヘパリン化代用血管は小口径用に使用されてきたGTや最近開発されたBFより優れており、その臨床応用が期待される。
  • 松居 喜郎, 郷 一知, 合田 俊宏, 酒井 圭輔, 安田 慶秀, 桜井 正之
    1992 年 21 巻 1 号 p. 104-108
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    致死性難治性心室性不整脈に対する植え込み型除細動器(AICD)による外科治療経験を得た。症例は3例で不整脈診断は持続型心室頻拍(VT)+心室細動(VF) 1例、持続型VT 1例、特発性VF 1例で、基礎疾患として広範前壁心筋梗塞1例、拡張型心筋症1例を有していた。3例全例で心蘇生の既往を認めた。術前左室駆出率は26%、37%、67%であった。手術は胸骨正中切開を行い、除細動電極には大小パッチを、感知電極には心筋電極を用いた。除細動域値(DFT)測定のため術中除細動を2-5回行い初回放電ジュールを設定した際、全例有効な除細動が得られた。術後観察期間10箇月-1年7箇月で遠隔死亡はなく1例で6箇月後に自然発作に対しAICDが有効に作動した。合併症として1例に心不全、1例で心膜炎を呈した。遠隔期の作動性能について今後観察を続ける予定である。
  • 相馬 康宏, 四津 良平, 高橋 隆一, 古梶 清和, 田口 真一, 工藤 樹彦, 小田口 浩, 桜井 義也, 川田 志明
    1992 年 21 巻 1 号 p. 109-112
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    VTあるいはVFからの蘇生例に用いられたAICDについて、その使用経験を報告する。
    対象は米国植込み3例を含めた6例、7台である。心臓に関する基礎疾患は心筋梗塞2例、心筋梗塞+左室瘤1例、大動脈弁閉鎖不全1例、primary electrical disease 2例であった。適応とした不整脈はVT 4, VF 2例で、全例心肺蘇生術の既往があった。VTは4例ともに多剤抵抗性であった。VF 2例は薬剤抵抗性については判定不能であったが、蘇生術の既往からAICDの適応とした。VTに対する放電は1例のみであった。術後合併症は皮膚の圧迫壊死、電極の断線、胸水貯溜、generatorの不活性化の各1例と誤作動2例を認めた。手術死亡はなく、5-40ヵ月、平均22ヵ月の観察期間中には不整脈死は認められなかったが、2例が26ヵ月、40ヵ月目に脳血管障害で死亡した。VFの1例は断線と電池消耗で29ヵ月目に再手術を受けた。AICD植込み手術は手枝的に容易で、侵襲も少なく、有用な方法と思われた。
  • 北村 昌也, VA STARNES, EB STINSON
    1992 年 21 巻 1 号 p. 113-115
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    心臓移植へのブリッジの1つとして, スタンフォード大学におけるICD植え込み後の心臓移植6例を検討した。基礎疾患は重症虚血性心疾患3例、特発性心筋症3例で、不整脈の種類としては心室性頻拍3例、心室細動3例であった。6例中4例でAmiodaroneが投与され、房室ブロックを伴った3例にペースメーカーの植え込みが行われた。ICDの植え込み法は、左開胸-心膜外側パッチ4例、剣状突起下切開-心膜内側パッチ2例で、ICD装着から移植までの期間は5~39(平均20)ケ月であった。心臓移植後の経過では、6例のうちICD植え込み後もAmiodaroneの内服を続けていた2例は移植後に重症呼吸不全となり、うち1例が病院死した。他の4例は特に合併症もなく順調に軽快退院した。以上より、重症心不全を伴った薬剤抵抗性の致死的頻脈性心室性不整脈に対して、ICDの植え込みをブリッジとする心臓移植は有効な治療法と思われた。
  • 工藤 英範, 細田 泰之, 渡部 幹夫, 忽滑谷 通夫, 田原 稔, 佐藤 健志, 後藤 昌弘, 高沢 賢次, 南 茂, 斎藤 司
    1992 年 21 巻 1 号 p. 116-122
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    In vitroにて、遠心ポンプの回転数、温度、循環流量および回路内圧が血球成分に与える損傷と、回転時に発生する熱量と温度差による溶血量の測定を行い、溶血増加の原因について検討した。また、BP-80を405例の体外循環に臨床使用したので、使用症例を分析し、更に血液損傷について、ローラーポンプ使用例と比較検討した。その結果、遠心ポンプの溶血に最も関係する因子は回転数と血液温度で、通常の場合、循環流量および圧力は影響が少ないと考えられた。
    遠心ポンプは、完全な定常流であることから、高齢で高度の粥状硬化性病変を有する虚血性心疾患の体外循環に有利と考え使用した。操作性および安全性は、ローラーポンプと比較して優れていたが、体外循環中の血液有形成分に与える影響は、ローラーポンプ使用例と差は見られなかった。
  • 四津 良平, 古梶 清和, 小野口 勝久, 田口 真一, 木曽 一誠, 前原 正明, 下山 嘉章, 相馬 康宏, 川田 志明
    1992 年 21 巻 1 号 p. 123-129
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    過去7年間において、開心術あるいは、胸部大動脈瘤の手術後における重症心不全22例に対し、intraaortic balloon pumping (IABP)単独例を除く各種の人工血液ポンプを用いた機械的補助循環を行った。それらの原疾患は、虚血性心疾患9、胸部大動脈瘤6、弁膜疾患6、複雑心奇形1である。補助形態別にみると左心補助のみが8、右心補助のみ1、両心補助が13例である。22例の内21例に左心あるいは右心のいずれか、又は左心・右心の両心に遠心ポンプを使用した。IABPの併用は、左心に遠心ポンプを用いた症例に行った。
    結果遠心ポンプ使用21例中3例がすべての血液ポンプ(左心、右心、または両心)から離脱できた。うち左心補助1例と両心補助1例の計2例が長期生存している。残りの1例は両心とも離脱し得たが術後1ヶ月目に失った。
  • 安藤 太三, 中島 伸之, 安達 盛次, 中谷 充, 川島 康生
    1992 年 21 巻 1 号 p. 130-135
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    胸部大動脈瘤手術の補助手段として、遠心ポンプを使用した56例の臨床成績を検討するとともに、従来の補助手段法と比較した。病型は下行大動脈瘤18例、胸腹部大動脈瘤18例、III型解離15例、残存解離再手術5例で、年齢は17~80歳(平均59歳)、男/女は37/19であった。遠心ポンプはBio-Medicus社のBio-pumpを使用し、左心バイパスを40例、動脈間バイパスを16例に行なって、手術は左開胸(胸腹部切開)下に人工血管置換を施行した。バイパス時間は平均148分、バイパス流量は平均2.1l/分で、下肢血圧は上肢の70%が維持され、尿量も平均186ml/時が出て、血行動態は安定していた。術中の大量出血には我々の回収式自己血輸血法で対応できた。術後腎障害を11例、対麻痺を5例に認め、病院死亡が6例あったが、遠心ポンプと関係はなかった。従来の部分体外循環法や一時的体外バイパス法と比較しても有用性が確認された。
  • 小山 富生, 曽根 孝仁, 伊藤 健, 高須 昭彦, 村瀬 允也, 佐々 寛己, 水口 一衛, 前田 正信, 坪井 英之, 村上 文彦, 寺 ...
    1992 年 21 巻 1 号 p. 136-141
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当施設において遠心ポンプを用いて術後左心バイパス、経皮的心肺補助(PCPS)を行った28例の臨床成績と遠心ポンプにかかわる問題を検討した。左心バイパス3例では1例離脱し得たが、救命例はなかった。Emergency PCPSにおいては17例中8例(47%)が離脱し7例(41%)の長期生存が得られた。また10例が蘇生手段として用いた症例であり、この内4例(40%)は開始10分から17時間経過した時点までに意識の完全回復がみられ、3例(30%)が生存した。意識の完全回復が得られた症例の蘇生時間は15-43分(平均30分)であった。Elective PCPSは8例中6例にて良好な結果が得られ、症状の著名な改善をみた。遠心ポンプはその構造上の特徴からローラーポンプの様に特別な圧力制御を行なう必要がなく、緊急時の安全性とセッティングの容易さ及び装置を小型化できる点からPCPS法のポンプとしての使用は有効であった。
  • 西村 元延, 中埜 粛, 金香 充範, 宮本 裕治, 門場 啓司, 高野 弘志, 雨宮 彰, 張 釖嶂, 松田 暉
    1992 年 21 巻 1 号 p. 142-146
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    遠心ポンプを用いたECMOを含む各種補助循環症例28例をもとに、補助循環の駆動装置としての遠心ポンプの有用性と問題点について検討した。施行した補助循環法の内訳は心室補助16例、リザーバー無しの閉鎖回路による静-動脈バイパス9例、ECMO 3例であった。成績は心室補助例で離脱率75%、生存率38%、静-動脈バイパス例で離脱率22%、生存率22%、ECMO例で離脱率66%、生存率66%であり、心室補助例、ECMO例においては良好であったが、静-動脈バイパス例においては不良であった。補助循環中の合併症について検討すると、静-動脈バイパス例では他の補助方法に比し再開胸止血術を施行してもなお持続的出血を呈する症例が多く、成績不良の一因と考えられた。血栓塞栓症を心室補助16例中4例に、また遠心ポンプ交換後56時間目の1例にポンプのハウジング部からの血液リークを認めた。耐久性や抗血栓性に問題を残すものの、遠心ポンプは簡便であり補助循環の駆動装置として有用であった。
  • 鈴木 一郎
    1992 年 21 巻 1 号 p. 147-150
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環の送血ポンプとして遠心ポンプ(Bio-pump)を使用し、臨床開心術68例について、血行動態の変化及び血液成分に与える影響について検討した。
    臨床応用68例は成人開心術中、体外循環時間3時間前後の症例を中心に行い、その手術術式別内訳は虚血性心疾患43例、弁疾患20例、先天性心疾患5例であった。人工肺は全例膜型人工肺を用いた。体外循環時間は、185±98分、大動脈遮断時間は98±40分であった。体外循環終了時の血清遊離ヘモグロビン値は、64±23mg/dlであり、ハプトグロビンは72±36mg/dlであった。この結果、遠心ポンプは末梢血管抵抗上昇時には灌流量低下がみられ、容易かつ詳細に体外循環中の循環動態把握が可能で、また血球成分の破壊が少なく、体外循環時の送血ポンプとして有用であると考えられた。
  • 三宅 仁
    1992 年 21 巻 1 号 p. 151-155
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    高齢化社会に対応すべく、形状記憶合金による人工筋肉を応用した柔軟な動きをする内骨格型のマニピュレータ開発の第一歩として、動的解析を行ないながら種々の設計を行なうという新しい方法について述べている。すなわち、マニピュレータの駆動源である形状記憶合金人工筋肉は生体筋を模倣したものであり、その収縮特性も生体筋の”特性方程式”で近似されるが、この収縮特性は非線形であり特に外力が加わったときの収縮挙動は予測が困難である。したがって、先ず、マニピュレータをモデル化し、人工筋肉の収縮特性方程式を導入した運動方程式から運動力学的解析を行い、同時にCADの手法でマニピュレータの動きを動画として表現しつつさまざまな挙動が把握可能なシステムを構築している。また、その成果に基づく試作も紹介されている。最後に本システムの課題と応用についても述べている。
  • 清水 義浩, 牧野 英一, 田代 亜彦, 吉田 尚, 國友 哲之輔
    1992 年 21 巻 1 号 p. 156-161
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は微細な炭素繊維電極(径:7μm)の束(1000本)を用いて電極活性表面が小さな孔の奥にある電極を開発した。この電極をミクロホール電極という。この電極は流れの影響を受けにくい、小型化が容易である、汚れにくいなどの特長を有する。この電極と電子メディエーターを用いて生体埋め込み可能なグルコースセンサーを試作した。このセンサーの先端に優れた抗血栓性膜であるpolyvinyl-chloride/polyethyleneoxide膜を被覆した。これを家兎の皮下、腹腔、静脈内に同時に埋め込み、、血糖値との比較を試みた。腹腔以外のセンサーは血漿ぶどう糖値の変化に対してよく追随した応答性を示した。腹腔センサーは出力が大きく揺れて不安定であった。電子メディエーターとミクロホール電極を利用したグルコースセンサーは生体体液中および血液中のブドウ糖濃度を連続に測定できる可能性が見い出された。
  • 阿部 一彦, 岡野 光夫, 鈴木 憲, 桜井 靖久, 菅原 基晃, 堀江 俊伸
    1992 年 21 巻 1 号 p. 162-168
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    アニオンリビング重合によって合成し、ラメラ状のミクロドメイン構造を有するHEMA-Stブロック共重合体の血小板活性化抑制機構を明確にするために、PSt、HEMA-Stランダム共重合体を対照群として、材料表面に接触した血小板及び長時間粘着した血小板の形態変化について、透過(TEM)及び走査電顕(SEM)を用いて解析した。血小板とポリマービーズとの相互作用はマイクロスフィアカラム法を用いて行った。血小板流速は0.1ml/分×15分と0.5ml/分×3分で行った。接触血小板をTEMにて、粘着血小板をSEMとTEMにて解析した。その結果、ブロック共重合体は血小板流速の違いを問わずPSt、ランダム共重合体に比べて血小板の形態変化を著しく抑制することが明らかになった。このことから、ブロック共重合体の血小板活性化の抑制機構は、アクチン重合、アクトミオシン収縮のような血小板細胞骨格成分の再構成の抑制によることが考えられた。
  • 鈴木 嘉昭, 日下部 正宏, 佐藤 昌六, 岩木 正哉, 秋庭 弘道, 日下部 きよ子
    1992 年 21 巻 1 号 p. 169-175
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    シリコーンに種々のイオンビームを照射し、血小板の集積量の測定および抗血栓性の評価を行った。抗血栓性評価はIn-111-tropolone-血小板による評価に加え、雑種成犬下大静脈留置法により行った。またイオンビーム照射シリコーンの物理化学的性質とこれらの抗血栓性についての比較を行った。イオンビーム照射したシリコーンをラットに留置した結果、試料表面、SVC、心臓、腎臓、肝臓、脾臓への血小板の集積は減少する傾向を示した。照射試料の中では血小板の集積比の減少が大きい試料はO2+(1×1017), K+(1×1017), Kr+(1×1017ions/cm2)照射試料であった。雑種成犬下大静脈留置法による抗血栓性評価で本実験で用いたイオン種ではNe+, Ar+, Kr+等の希ガスイオンビーム照射試料は極めて良好な成績を得た。またこれらイオンビーム照射したシリコーンの抗血栓性の向上は留置初期における血小板の集積の抑制効果によるものと考えられる。
  • 田村 康一, 人見 滋樹, 夏目 徹, 小林 智和, 桑原 脩, 大西 忠之, 中村 幸一
    1992 年 21 巻 1 号 p. 176-180
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ポリビニアルコール(以下PVAと略)水溶液のゲル化法には種々のものがみられ、従来は化学試薬を用い、あるいは放射線照射によりおこなわれてきた。今回用いたPVAゲルは反復凍結をおこなうことにより作製可能で水とPVA以外のものは含まれていない。水分量は70~90wt%とすることができ、生体組織のそれに匹敵する高含水性を有するが、ゴム状弾性を持ち機械的強度にすぐれている。
    PVAゲルは医用材料として古い歴史を有し、また現在でも微小人工血管や人工硝子体などとしての応用も考えられ、生体にとっては反応の少い物質である。以前より、新たに開発された高含水・高弾性をあわせもつPVA Hydrogelを生体内に埋植し、その結果埋植用医用材料として有望であると報告してきた。
    今回は、より長期間生体内に埋植し、物性ならびに無機質などの沈着の状態を調べた。その結果、物性の面からは若干の硬化を示すものの著変はなく、また無機質、Mg、Caの沈着の程度は微量であった。
  • 越後 茂之, 松田 武久, 神谷 哲郎, 黒江 兼司, 布施 茂登, 小笹 浩, 依田 隆一郎
    1992 年 21 巻 1 号 p. 181-185
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    形状記憶樹脂を動脈管閉鎖用の人工栓として使用する経静脈的動脈管閉鎖術の開発を試み, イヌに作成した人工血管による大動脈・肺動脈間短絡の経静脈的閉鎖術を施行して, 臨床応用を想定したin vivo評価と問題点の検討を行った。形状記憶樹脂に硫酸バリウムを添加した新しいタイプの人工栓は透視下で充分に形態の確認が可能であった。ロングシースに沿って細く変形した人工栓をプッシングカテーテルで短絡へ挿入することは容易であった。短絡へ排出された人工栓にカテーテルから45℃に加温した生理食塩水を吹きかけると開大し, カテーテルやワイヤー抜去後も安定して短絡に留まった。閉鎖術後の大動脈造影では, 5頭のうち3頭が完全閉鎖であり, 2頭は部分閉鎖であった。術後の解剖では, 人工栓の円錐状シートは充分開大して元の記憶された形状になっており, 予想した作動性能が確認された。人工栓の大動脈側ならびに肺動脈側の人工血管内には血栓が認められた。
  • 菅原 隆, 松田 武久
    1992 年 21 巻 1 号 p. 186-190
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    表面微細領域に蛋白質の化学固定化をすることを目的として、光化学反応を用いた新しい表面固定化技術の開発を行った。用いた化学反応は、1)光照射することによって近傍の炭素と共有結合を生成するフェニルアジド基の光反応性、2)光照射によって開裂してカルボキシル基を生成するo-ニトロベンジルエステル基の光反応性の2種類である。1)ではフェニルアジド基を導入した蛋白質の基材表面への吸着と光照射による化学固定法、2)では生成したカルボキシル基に縮合剤である水溶性カルボジイミドを用いて蛋白質を結合させる方法について検討した。X線光電子分析による表面の解析では、いずれの場合にも蛋白質が表面に化学固定されたことが確認された。またフォトマスクを被せて光照射すると露光部のみに蛋白質が化学固定されたことを、酵素抗体法を用いた染色法、及び原子間力顕微鏡による観察によって明らかにした。
  • 岸田 晶夫, 松田 武久, 高塚 旨寛
    1992 年 21 巻 1 号 p. 191-195
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    RGD (Arg-Gly-Asp)ペプチドが細胞接着性蛋白質に共通する最小活性部位であることが同定され、医用材料への応用が検討されている。本報告では、アルブミン分子表面に細胞接着活性を有するRGDペプチドを化学結合させて細胞接着性蛋白質を調製することを試み、in vitroにおける細胞の接着・増殖機能について検討した。カルボジイミド法により合成したRGD-アルブミン結合体(RGD-ALB), フィブロネクチン(FN), ビトロネクチン(VN)を材料表面にコーティングした後、牛動脈由来内皮細胞を播種して培養細胞の接着状態を観察した。その結果、RGD-ALBはFN, VNと同様に細胞を接着させた。接着細胞の伸展性, 増殖性, 移動性を定量的に解析すると、RGD-ALBはFN及びVNに匹敵した性質を示した。以上のようにRGD-ALBは人工的な接着性蛋白質とみなせる。
  • 岸田 晶夫, 高塚 旨寛, 松田 武久
    1992 年 21 巻 1 号 p. 196-200
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ファイブロネクチンの細胞接着活性部位であるRGD (Arg-Gly-Asp)ペプチドをアルブミンに結合させたRGD-アルブミン複合体(RGD-ALB)を用いて、細胞接着活性が創傷治癒に及ぼす効果をin vivoにて検討した。ポリウレタン製スポンジに、RGD-ALB、ファイブロネクチン(FN)、アルブミン(ALB)をコーティングしてラット皮下に埋入し組織の侵入を経時的に観察した。その結果、RGD-ALBとFNでは埋入直後から炎症性細胞の侵入がみられ、埋入後1週間までにスポンジ内部まで結合組織が侵入した。一方未処理およびALBでは、炎症細胞の侵入は軽微で組織侵入は大幅に遅れた。また、RGD-ALBおよびFNには走化性活性が認められず、組織侵入の促進はRGD-ALB、FNのもつ細胞接着活性によるものと考えられた。
  • 梶原 博一, 野一色 泰晴, 星野 和実, 石井 正徳, 鈴木 伸一, 小菅 宇之, 孟 真, 井元 清隆, 富山 泉, 磯田 晋, 山崎 ...
    1992 年 21 巻 1 号 p. 201-205
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工心肺を長時間回転した場合、一度止血していた人工血管や心室壁パッチより再出血が認められることがある。特にダクロン布のようにフィブリン析出の目詰まりにより止血されている部位は線溶系亢進による再出血の危険性を持っている。この欠点を解消するため、線溶系亢進に影響されない自家組織細片による目詰まり法を用い、安全なパッチ材料を作成した。方法としては、手術時に皮下脂肪結合組織を細片として高有孔性ダクロン布製人工血管内に圧注入し、組織片により目詰まりさせ、その後、長軸方向に切開して膜状として使用するもので、動物実験により人為的な線維素溶解現象亢進状態下においても出血しなかった。一方従来のpreclotting法による部位は再出血がみられた。本実験で作成したパッチ材料は高有孔性ダクロン布を枠組みとして使用していることから、柔軟で取り扱いやすく、しかも自家組織片を用いるため植え込み後の内膜治癒も良好であると期待される。
  • 山田 則子, 坂井 秀昭, 岡野 光夫, 桜井 靖久
    1992 年 21 巻 1 号 p. 206-211
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肝細胞など接着依存性細胞を培養床から回収する方法として温度応答性表面を利用する新しい概念に基づいた培養システムを開発した。ポリイソプロピルアクリルアミド(PIPAAm)を市販の組織培養皿表面に電子線照射によりグラフト重合した。PIPAAmは培養皿表面に均一にグラフトされ、ポリマーの厚さは約0.5μmであった。グラフト表面は、温度変化に応答して疎水性から親水性へと変化した。ラット肝細胞をグラフト表面で37℃で培養すると、細胞は市販の培養皿と同等に接着、増殖した。この細胞を培養皿のまま10℃に静置すると(低温処理)、全ての細胞が培養皿から剥離して回収できた。低温処理により回収した肝細胞の新しい培養皿への接着性、およびアルブミン分泌能は初代肝細胞とほぼ同じであったが、通常の酵素処理により回収した細胞では接着率、アルブミン分泌能ともに大きく低下していた。本培養システムによりラット肝細胞を温度を下げるという簡単な操作だけで機能を保持したまま回収出来ることを明らかにした。
  • 藤本 幸之進, 近藤 慶之, 武井 由香, 戸辺 成四郎, 赤池 敏宏
    1992 年 21 巻 1 号 p. 212-216
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肝機能補助装置やバイオリアクターの開発に際して、肝実質細胞(肝細胞)の接着培養基材を開発することは非常に重要である。肝細胞とコラーゲンやフィブロネクチンなどとのレセプターを介した特異的相互作用においても、その結合の安定性、選択性には分子が有するペプチド結合、コンフォメーションおよび荷電性のアミノ酸残基等が重要な働きをしているものと考えられる。そこで我々は、生物特異的な認識をシミュレ-トするために、リシン、グルタミン酸およびロイシンからなる3成分ランダムコポリマーを合成し、これらのコポリマーに対するラット肝細胞の培養初期における挙動を解析した。その結果、リシンを多く含むコポリマーにおいては高接着性を示し、2.5% Fetal Calf Serum (FCS)、インスリン、デキサメタゾンを含む系で培養した場合、コラーゲンと同程度の機能発現性を有していた。また、上記の系で培養を続けると培養2-3日で多層島状集合体を経て、スフェロイドを形成した。このように高接着性、高機能発現性を示し、スフェロイドを形成することのできるアミノ酸コポリマーは肝機能補助装置などを開発する上で有用な基材になりうると考えられる。
  • 戸辺 成四郎, 武井 由香, 久々宮 岳志, 小林 一清, 赤池 敏宏
    1992 年 21 巻 1 号 p. 217-221
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体肝組織は、肝細胞と肝非実質細胞(NPC)とによって構成され、三次元的細胞社会を形成している。また、肝細胞の有する数多くの肝特異機能の発現や肝再生にも、肝細胞とNPCとの相互作用は重要なはたらきを担っている。それ故、肝細胞培養システムをハイブリッド型人工肝臓などに応用する為には、生体肝組織を構成する肝細胞とNPCとの混合培養システムを確立することが有用である。今回、我々はハイブリッド型人工肝臓の開発を目的として、肝細胞に特異的なアシアロ糖タンパク質のモデル材料として設計された人工基質材料であるPVLA (poly-N-p-vinylbenzyl-D-lactonamide)上でのラット肝細胞とNPCとの混合培養を試みた。肝細胞とNPCとの混合培養下において、肝細胞は顕著な多層集合体を形成した。この多層集合体を形成した肝細胞は、コラーゲン上の混合培養系での肝細胞に比ベアルブミン合成分泌能を亢進し、その機能を長期間にわたり良好に維持した。PVLAは、肝細胞のみを選択的に接着させ、NPCの初期の接着と増殖を極度に抑制した。この人工基質材料PVLAならではの特性が、肝細胞とNPCとの長期間安定な混合培養を可能にしたものと考えられる。
  • 由井 伸彦, 鈴木 憲, 岡野 光夫, 桜井 靖久
    1992 年 21 巻 1 号 p. 222-227
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    高分子材料との接触による血小板の活性化機構の解明を目的として、ポリスチレン・ラテックスとの接触による血小板の細胞質内遊離Ca2+濃度変化をthrombin、calcium ionophore (A23187)刺激時と比較しながら検討した。ラテックス刺激による遊離Ca2+濃度上昇は、benzyl alcohol処理血小板で抑制され、またserratia protease処理血小板では上昇速度がほぼ同様であったのに対し、dibucaine処理血小板ではほとんど認められなかった。このことから、ラテックスとの接触による遊離Ca2+濃度上昇はthrombinのようにreceptor-mediated pathwayによるものでも、A23187のように膜流動性上昇によるCa2+の物理化学的流入によるものでもなく、接触に起因した膜タンパク質と細胞骨格タンパク質とのnetworkの変化に関与した機構によることが示唆された。
  • 鈴木 憲, 由井 伸彦, 岡野 光夫, 桜井 靖久
    1992 年 21 巻 1 号 p. 228-233
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とスチレン(St)とからなるブロック共重合体は表面にミクロ相分離構造を形成し高い抗血栓性を示す。本研究では血小板活性化のセカンドメッセンジャーである細胞内遊離Ca2+濃度に注目し、活性化抑制の機構を検討した。材料表面上に血小板が粘着するとそれぞれのホモポリマーやHEMA-Stランダム共重合体では細胞内Ca2+濃度が上昇するのに対し、HEMA-Stブロック共重合体ではほぼ一定の低い値を示し、初期活性化が抑制されていることが示された。さらに種々のポリマー表面に粘着した血小板を薬物で刺激し細胞内Ca2+濃度を調べると、疎水性のPSt表面では血小板膜上の糖タンパク質の集合状態の変化が、また、親水性のPHEMA表面では細胞膜流動性の増加が活性化の引き金になっており異なる機構が示唆された。これに対しブロック共重合体ではこうした親水性や疎水性の材料との接触に伴う細胞膜の変化が抑えられ、このような効果がランダム共重合体で認められないことから抗血栓性の発現に親水-疎水型ミクロ相分離構造が重要であることが示された。
  • 菅原 隆, 松田 武久
    1992 年 21 巻 1 号 p. 234-238
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工心臓・人工血管等のデバイスに高度の生体適合性を付与する表面改質技術の開発が強く要望されている。本研究では、成型加工したデバイス表面の望む部位の極表面に限局した表面グラフト重合法を開発することを目的とした。新しく開発した表面グラフト重合法は光反応を用いてラジカル重合開始剤を導入可能な高分子(ポリアリルアミン)を基材表面に化学固定し、ついでカルボキシル基を持つ重合開始剤を水溶性縮合剤を用いて化学固定した後に、ラジカル重合を行う方法である。この方法により、ポリビニルアルコールのポリスチレングラフト化、及びポリアクリルアミドがグラフトされたポリエチレンテレフタレートが得られた。また本技術により表面微細加工がミクロンオーダーでできることをグラフト鎖の染色及び原子間力顕微鏡によって示した。
  • 岡野 光夫, 上遠野 浩樹, 緒方 直哉, 桜井 靖久, 讃井 浩平
    1992 年 21 巻 1 号 p. 239-243
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    低温収縮/高温膨潤の膨潤度温度依存性を有するポリアクリルアミド/ポリアクリル酸系相互浸潤網目(IPN)は、温度変化に応答して可逆的な低温OFF/高温ONの薬物放出を示した。低温への温度変化後、IPNは表面から収縮を開始する。この表面収縮層に注目して、薬物放出のOFF状態と表面収縮層の関係を調べた。収縮過程でIPNは収縮に伴い水の流出を起す。この水の流出が収縮層によって遮られた場合、ゲル内部に圧力が蓄積される。IPNの表面収縮層がこの強度に耐え得る場合には、温度変化と同時に薬物放出はOFF状態に変化する。内部圧力の方が表面収縮層に比べその力が大きい場合、収縮層は緻密な構造を維持することができず、内部圧力による大きな水、薬物の流出が生起する。すなわちゲルの敏速かつ完全な薬物のOFF応答には内部圧力に耐え得る表面収縮層の形成が必要であることがわかった。
  • 吉田 亮, 酒井 清孝, 岡野 光夫, 桜井 靖久
    1992 年 21 巻 1 号 p. 244-248
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    感温性のイソプロピルアクリルアミドとアルキルメタクリレートのコポリマーゲルを合成し、このゲルによる薬物放出のON-OFF制御の可能性を検討した。ポリマーの化学構造および温度の変化幅を変え、表面収縮層の形成による放出制御メカニズムを高分子マトリックスの動的変化に注目して検討するとともに、ON-OFF制御が可能となる最小温度変化幅を追求した。ゲルからのインドメタシン放出速度を連続的に測定した結果、一般的に低温で放出が起こり高温で放出が停止する傾向を示した。しかし温度変化幅が大きい場合には温度上昇直後に鋭い放出ピークが生じ、そののち放出速度は減少した。これは表面収縮層形成による急激な薬物の搾り出しによると考えられた。また温度変化幅が小さくなると、温度上昇後ゲル内部に蓄積する圧力により遅れ時間を伴う放出ピークが新たに観察された。収縮層の形成・消失に応答する放出挙動にポリマーのアルキル鎖長および温度変化幅がどのように影響するかをその動的変化に着目して検討し、薬物のON-OFF放出パターンを制御するゲルの構造について考察した。
  • 安達 秀雄, 尾本 良三, 横手 祐二, 木村 壮介, 許 俊鋭, 野田 裕幸, 長谷川 和康
    1992 年 21 巻 1 号 p. 249-253
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    最近の4年間にリング付き人工血管を急性A型解離13例、急性B型解離破裂3例の計16例に使用し、手術を実施した。手術近接期に6例が死亡し(このうち2例は心停止後の手術例)、死亡例中の1例にリング部内膜の断裂を認め、再破裂に関与した可能性が考えられた。手術遠隔期には10例中2例に、グラフトの屈曲による溶血と残存解離腔の拡大により再手術を要した。リング付き人工血管使用手術は人工心肺時間が短く、縫合による出血がないため、特にpoor risk症例に有用と考えられる。しかし、グラフトサイズの選択には注意を要し、弓部置換手術を考慮する症例には適さないなどいくつか問題点もあり、急性解離に対するリング付き人工血管使用手術の適用については慎重に検討を重ねる必要がある。
  • 勝本慶 一郎, 新堀 立, ミンハズ ウッディン
    1992 年 21 巻 1 号 p. 254-258
    発行日: 1992/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体親和性の大きなガラス状カーボンパイプをステントに加工して用い、術中プレクロッティングした人工血管の一端にはめ込み、グラフトとステントが外れないように固定し、sutureless intraluminal graftを作成した。手術リスクの高い腹部大動脈瘤に対してY型人工血管の中枢端にはめ込み、スーチャーレス的に大動脈に結合させる臨床応用の成績が良好であったので、今回、胸部大動脈への植込みにも応用した。カーボンステントを結合したグラフトは胸部大動脈の末梢側のみに使用し、中枢側は、宿主血管とグラフトとを手縫いで吻合した。胸部下行大動脈瘤3例、弓部分岐再建を含む胸部大動脈瘤2例に応用した。全身的にヘパリンを使用したが、術中出血量は、430-1500gと少なく、術後の経過は良好で合併症も見られなかった。現在、最長3年の外来フォローアップ期間があり、市販のringed intraluminal graftと比較して、術中操作性と安全性に優れていることが分かった。
feedback
Top