抄録
人工心臓用磁性流体アクチュエータの可能性について検討した。磁性流体アクチュエータは、ベアリングなどの摩耗部品を必要とせず、磁界を加えるだけで直接磁性流体を動かすことができる。ガラス製U字管中の磁性流体をソレノイドのギャップ中においた。0.32Tの磁束を加えたところ、磁性流体は移動し、7.58kPa (57mmHg)の圧が得られた。ガラス管のまわりに4個のソレノイドを並べ、ソレノイドを2づつ交互に励磁したところ、8.65kPa (65mmHg)の圧が得られた。理論計算より13.3kPa (100mmHg)の圧を得るには0.49Tの磁束密度で十分であることがわかった。磁性流体アクチュエータは、埋込型人工心臓アクチュエータとして有望といえる。開心術後の重症心不全8例に遠心ポンプ(Bio-Pump)による補助循環を行なった。離脱3例と脳死のため補助を断念した1例の4(A群)と離脱不可能の4例(B群)を血行動態, 主要臓器障害について比較した。補助時間はA群115.5時間, B群45.5時間とA群が長かった。補助流量はA群3.4L/min, B群3.8L/minで差はなかったが, B群の平均動脈圧(m-Aop)は1例を除き60mmHg以下で推移し, 全身血管抵抗(SVRI)も低値であった。B群では混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は低値で推移し, 原因として心拍出量の低下のほかに全身酸素摂取量(VO2I)の異常高値が考えられた。腎機能では尿量が維持できたのはA群の3例のみで, 呼吸機能(Respiratory index)もA群では3例が2以下に改善した。動脈血乳酸値, 中枢-末梢温度較差は補助循環の良い指漂であった。B群は代謝の亢進したhyperdynamic shock類似の血行動態にあり, この時期に至る前の補助循環が末梢循環代謝, 重要臓器機能の改善に必要である。