抄録
左心バイパスに際し、血球の損傷防止対策としてeicosapentaenoic acidを利用することを考案し、実験的検討を行った。実験は、1)閉鎖回路実験と2)雑種成犬を用いて遠心ポンプ使用下の左心バイパス実験を施行した。各々に、eicosapentaenoic acid ethyl emulsion(以下EPA-Eと略記)を静脈内投与する群と、しない群とを設定し、経時的採血を行い、赤血球凝集能と、遊離Hb、ヘマトクリット、血小板数等を測定するとともに、イヌでは回路内血流量、時間尿の測定を行った。その結果1)短絡回路実験においては、EPA-Eにおける有意差は認められなかった。2)イヌ左心バイパス実験では、赤血球凝集能は、EPA-E投与群は非投与群に較べ有意に低値を維持し、赤血球凝集の抑制が認められた。また遊離Hb、血小板数、などもEPA-E投与群において変動が少なかった。また時間尿については、バイパス開始後にも変動が少ないのみならず、大動脈遮断解除後の回復が速やかであった。