人工臓器
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21mm SJM弁による大動脈弁置換症例の検討
―運動負荷心エコー法による弁機能の計測―
塚本 勝井上 聡巳瓜田 雷己安倍 十三夫小松 作蔵
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1992 年 21 巻 2 号 p. 639-643

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抄録

21mm SJM弁による大動脈弁置換(AVR)症例18例の遠隔期弁機能を運動負荷ドップラー心エコー法(EDE)により計測し、弁サイズの妥当性を検討した。弁最大圧較差(APG)、弁平均圧較差(AMG)は、それぞれ安静時32.9mmHg、16.3mmHgから負荷時44.6mmHg、22.8mmHg(p<0.01)、弁平均血流速(AMV)は、安静時0.62m/secから負荷時0.97m/sec(p<0.005)と有意に高値となり、一方有効弁口面積(EOA)はそれぞれ1.04cm2、1.08cm2と変化しなかった。心拍出量(CO)とAVG、AMVとの間には、有意の正相関を認めたが、体表面積(BSA)とAVG間には相関を認めず、弁機能は体格より術後のCOに強く影響されることが示唆された。また、負荷時に、APG>50mmHgあるいはAVG>30mmHgを示す症例が4例認められ、このうち1例は傍弁輪逆流を認めた。残る3例は相対的なvalve prosthesis-patient mismatch症例の可能性が示唆された。EDEは狭小弁輪を疑われる症例の診断と経過観察にきわめて有効である。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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