人工臓器
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ECMO用人工肺膜へのアプローチ
―多孔質膜細孔性状のガス交換性能、血漿漏出に与える影響と多孔質膜の部分親水化―
萩原 和彦印南 奏子横山 研司鬼頭 均野川 淳彦村本 智則建部 建清田 由紀夫深沢 弘道
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1992 年 21 巻 2 号 p. 720-726

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抄録
多孔質中空糸膜をECMO用人工肺に用いることを目的に、細孔性状の違いがガス交換性能、血漿漏出性、バブルポイントに与える影響を検討した。内部潅流人工肺においては、空孔率21.9%においてもガス移動に対する膜抵抗は無視できることが明らかとなり、ガス移動に対する多孔質膜の膜抵抗の限界は更に高いところにあるものと考えられた。また加速血漿漏出試験の結果より、上記空孔率21.9%の中空糸を用いた人工肺は、臨床使用において1週間以上の耐血漿漏出性を有するものと推定された。更にこの膜の血液接触部へのヘパリン固定は、耐久性を損なわずにバブルポイントを大幅に上昇させるため、気泡混入の危険性を低下させることができる。以上より本中空糸膜にヘパリンを固定した中空糸はECMO用人工肺のガス交換膜としての活用が期待された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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