人工臓器
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Pumpless ECMOの植込型人工肺としての可能性の実験的検討
滝浪 實鈴木 一也石神 直之木村 泰三原田 幸雄
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1992 年 21 巻 2 号 p. 727-730

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抄録
Pumpless ECMOは、急性呼吸不全の治療や、肺高血圧症患者の肺移植までの呼吸補助、及び生体肺の代用としての完全植込型も検討開発されつつある。外部灌流型膜型肺を用い、成犬30頭を用いPumpless It PA-LA Bypass ECMO法の肺高血圧症に対する有用性を検討した。平均肺動脈圧30mmHg以上(A群、n=20)、30mmHg未満(B群、n=10)とし、左開胸にて左肺動脈に脱血管挿入、膜型肺を通して左房に還流し、ECMO設立。ECMO使用時間は平均約7時間、バイパス中動脈圧は両群とも安定、肺動脈圧はECMO開始後、A群では有意に低下し、バイパス流量はB群より有意に多く、心拍出量の約40%を推移した。又、酸素加能もA群で有意に上昇した。体位変換による著しい変化は認めなかった。
肺動脈圧で還流するPumpless It PA-LA Bypass ECMOは人工肺の材質の開発により肺高血圧症患者における一時的な呼吸補助のみならず、植込型人工肺への応用の可能性を示している。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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