抄録
開心術体外循環症例に対してケトン体比(KBR)の測定を行った。体外循環開始早期より、KBRはcriticalpointである0.4近くに低下する症例が多く認められた。体外楯環中は低値で維持されており、体外循環離脱後は徐々に回復にむかい概ね24時間後には正常化した。
しかし、initial dropの生じないF-Fバイパスによる胸部大動脈瘤においては体外循環中KBRの低下を認めなかった。
以上より臨床例においては体外循環早期では灌流圧の低下がKBRの低下の原因と考えられた。
一定体温下(35℃)、雑種成犬を用いて行った実験では体外循環開始早期にKBRは低下したが10分ほどで回復し、臨床例ほどのKBRの低下は認めなかった。またKBRは灌流圧よりむしろ同時に測定した門脈血流量に沿った動きを示した。