抄録
透析療法の進歩により慢性透析症例に対し開心術を行う機会が増加してきている。かかる症例に対し当施設では、体外循環中にhemofiltration(HF)を併用することにより、7例の慢性透析症例に対し開心術を施行し、6例を社会復帰させることができた。体外循環中のHFの併用により術後当日の水分電解質管理は保存的に対処可能であり、且つ、術翌日のBUN, CRE値のコントロールも良好で術翌日より通常Hemodialysis(HD)を施行可能であった。また、術後の人工呼吸器、カテコールアミンよりの離脱時間、ICU滞在日数、在院日数についても、術前術後共に、合併症を認めない最近連続100例の腎機能正常例の開心術症例に比し有意差を認めなかった。以上のことから、体外循環時のHFの併用により慢性透析症例に対しても腎機能正常例に比し遜色なく安全に開心術を施行できると思われた。