人工臓器
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Acetate Free Biofiltrationと血中Acetate濃度(重曹透析との比較)
遠藤 信之阿部 町子中川 一郎古川 守中村 藤夫保科 繁池田 裕浦野 寿夫鈴木 正司平沢 由平
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1993 年 22 巻 1 号 p. 34-38

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抄録

重炭酸透析液に微量に含まれている酢酸の臨床治療上の影響を検討するため、酢酸を全く含まない血液浄化法Acetate Free Biofiltration(AFBF)と通常の重炭酸透析液(BCHD)を比較した。
10名の患者群は同一としAFBF、BCHDをそれぞれ18回づつ実施した。血液流量、透析液流量は原則として両治療とも同条件とした。小分子量物質の除去率、電解質、代謝性アシドーシスの是正、血圧低下に対する処置では、両者の間に有意な差はほとんどみられなかった。また血中酢酸濃度は、AFBFの前に0.56~0.32mEq/l、後で0.55~0.32mEq/lと有意差なく、BCHDの前0.62~0.34mEq/l、後で1.06~0.40mEq/lと有意な上昇を認めた。しかし臨床症状の発現率はAFBFで27.8%、BCHDで38.9%という結果であり、統計学的には有意ではなかった。そのため今回の検討だけでは、BCHDの治療中の臨床症状が全て血中酢酸濃度のわずかな上昇に由来するとは断言できなかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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