人工臓器
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JMS膜型人工肺LH-760の臨床的検討
雨宮 彰中埜 粛宮本 裕治張 〓樟松田 暉石原 義久木村 創
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1993 年 22 巻 2 号 p. 344-347

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抄録
新しく開発された膜型肺LH-760は、ガス交換膜にシリコーン中空糸を採用した落差灌流、動脈血貯血方式の人工肺であり、従来の多孔質膜使用の人工肺に比ベガス交換性能の経時的低下や血液適合性に関し有利と考えられ、また落差脱血方式なので拍動流、分離体外循環に応用可能である。今回、成人開心術10例に臨床応用し、ガス交換性能、血液適合性について検討を行なった。その結果、ガス交換性能は全例、経時的低下もなく良好であった。また溶血は軽度で、血小板数は体外循環終了時、開始前値の75%を保持した。フィブリノーゲンは体外循環開始後60分まで経時的に減少したが、終了直前には開始前と同等の値に復帰した。FDPは開始直後に上昇したが、その後の経時的増加はなかった。補体系ではC3aが経時的な上昇を示したが、C3、C4、CH50の変動は僅かであった。これらの結果より、LH-760は良好なガス交換性能を有し且つ血液適合性に優れた人工肺と考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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