抄録
1986年より1991年までにASO症例に対して, Reinforced expanded PTFE(以下REP)と自家大伏在静脈(以下ASV)を用いて, 末梢側吻合部位を膝上部(以下AK)においた大腿・膝窩動脈バイパス術(以下FPB)施行した36例44肢を対象とした。平均年齢を除いて両群の背景因子に差を認めなかった。術後療法としてワーファリンを80.0%, 33.3%抗血小板剤を100%, 90.5%それぞれ投与した。REP群15例16肢の累積開存率は, 1年:100%, 2年:80.0%, 4年:80.0%であった。遠隔期閉塞は2例あり, その原因は, 吻合部内膜肥厚1例, 末梢側病変の進行1例と推測された。これに対してASV群21例28肢の累積開存率は, 1年:100%. 2年:96.3%, 4年87.5%, 5年:82.4%であった。ASOに対するFPBの材料として,REPはASVと比較し開存率に差は無く,有用性が示唆された。