1993 年 22 巻 3 号 p. 760-765
Dynamic cardiomyoplasty(DCMP)の慢性期での左心補助効果をもたらすメカニズムを解析する目的で、骨格筋と心筋との癒着後のDCMP駆動時での左室壁運動を心エコー法にて検討した。長軸断層面ではpostero-lateralからapexが心基部に向かう運動、および短軸断層面での反時計回りの運動が確認された。一方壁運動を定量的に評価する目的でRegional wall motion(RWM)を分析してDCMP駆動時と非駆動時を比較し検討を加えた。左室長軸断層像のRWMではposIero-lateralからapexにかけてのfractional area changc(fac)が非駆動時、平均46.57±24.06%から駆動時、平均64.10±25.76%へと有意に増加し、乳頭筋レベルでの左室短軸断層像RWMでは全周性に有意なfacの増加が得られた。以上よりpostero-lalcralからapexが心基部方向に挙上され、同部を中心とした左室内腔の狭小化、心尖部からみて反時計回りの運動等がDCMPが左心補助効果をもたらすメカニズムであると考えられた。