1993 年 22 巻 3 号 p. 820-824
Omnicarbon (OC)弁のin vivoにおける開放不全の原因を検討すべく、新たに試作した循環系シミュレータを用いてin vitroでの運動解析を行い、in vivoでの運動と比較した。循環系シミュレータは空気圧駆動式拍動ポンプ、直管型左心室とした。作動流体はチオシアン酸カリウム水溶液とし、弁運動計測には高速CCDカメラ(撮影速度648コマ/秒)による画像を使用した。OC弁25mmを僧帽弁位及び大動脈弁位に装着し、更に、流れに対して-12~16度の傾斜角を与えて運動解析を行った。他の実験条件は、BPM=80、S/D比=0.4、前負荷12mmHg、後負荷平均100mmHgとした。高速カメラによる画像解析から、開放運動に関しては、僧帽弁位、大動脈弁位の両者で、傾斜角度の増加に伴い緩徐な開放運動から2段階の開放運動へと変化した。またBjörk-Shiley弁と比較した場合、OC弁の運動は更に緩徐であった。しかし、in vivoで見られた最大開放角度の減少は確認できなかった。