人工臓器
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生物の筋肉をモデルとした人工心筋の理論的検討と基本素子を用いた性能試験
壁井 信之桜井 靖久土屋 喜一
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1994 年 23 巻 1 号 p. 35-40

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抄録
本研究では筋収縮の原理として矢野らの静電モーターモデルを用い, バイオミメティックの手法により無機物質からなるバイオアクチュエータとしての人工心筋を実現することを目標とした. まず簡単な静電リニアアクチュエータ(以後基本素子と呼ぶ)について駆動に関する解析を行い, 人工心筋の実現化に有効なアクチュエータの推力増強法について検討した. この検討結果に基づいて, 基本素子を製作したところ200[V]で6.64±0.79[mN]の力を発生した. 次に単位面積当たりの推力を増強するために, 基本素子を小型集積化したことにより, 200[V]で42.3[mN]の推力を得ることができた. この結果, 可動子と固定子の隙間をそのままにしてアクチュエータの断面の一辺の長さを0.1[mm]程度までマイクロ化を計った場合, 30[cm]の長さでストローク5[cm], 単位面積当たりの出力が5[kg/cm2]と生体の筋肉とほぼ同等の出力が得られることが分かった.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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