抄録
単一の連続流ポンプの入口と出口に三方切り換え弁を設けて血流を左心系と右心系に交互に拍出することにより拍動流を得る新しい方式の完全人工心臓(流れ変換型拍動流完全人工心臓)は、単一の連続流ポンプしか要さず、しかもコンプライアンスチャンバーも不要のため将来の小型化および体内埋め込みには有利な特徴を持っている。しかし、この方式の人工心臓では酸素加血と非酸素加血の混合が重要な問題である。Sarns社のインペラーを用いた現在のモデルでは平均混合率で30.6%の血液混合が発生した。本研究では、連続流ポンプ内での酸素加血、非酸素加血の撹拌混合の程度を定量的に解析し、ポンプの形式とインペラーの形状によって混合の度合いがどのように変化するかを検討し、遠心ポンプでは20.7%、斜流ポンプでは16.9%にまで平均混合率を減少できた。