抄録
簡便な右心補助システムとしての経皮挿入右心補助法について, 動脈内軸流ポンプ(Hemopump)を応用して基礎的検討を行なった. 先ず, Hemopumpに肺動脈より挿入するカニューラを装着し, 成山羊を用いた急性実験で肺動脈より挿入し駆動したところ, 良好な右心補助効果を示し, 肺動脈弁の逆流も認めなかった. 次いで, 経皮的末梢静脈挿入用に設計したロータとステータおよびカニューラを装着したポンプシステムを作成した. モック回路にてその流量特性を検討したところ, 圧較差40mmHgにて40l/minの流量が得られた. 成山羊を用いた急性実験において, 腎静脈流入部より末梢側の下大静脈に吻合した人工血管より肺動脈への挿入は特に問題なく施行可能であった. また, 肺動脈高血圧を作成してもポンプ駆動により循環維持が可能であった. 今後本システムは簡便・強力な右心補助法になり得ると考える.