抄録
血液透析およびcryofiltrationによるシスプラチン(CDDP)の除去能を、進行肺癌を併発した血液透析症例において検討した。ダイアライザーはGFS-PLUS-15、プラズマセパレーターはAP-05H、cryofilterはAP-06を用いた。CDDP10mg及び20mg静注後の血中濃度は、投与後4時間までに急速に低下したが、静注後より血液透析を施行すると投与後1時間目までにさらに急速な低下を示した。静注後24時間目からの5時間透析では、ほとんど血中濃度の低下は認められなかったが、血漿4Lのcryofiltrationを施行すると前値の73.9%まで低下した。CDDPは静注直後では、血液透析でも血中の濃度低下をはかれるが、蛋白結合型が多くなる4時間目以降では血液透析による血中濃度低下は期待できず、cryofiltrationが有効と考えられた。