抄録
医用デバイスの素材となる種々の汎用性高分子に対し、紫外域に高強度のパルス光を発振するKrFエキシマレーザーを照射し曝蝕による微細エッチングを行なった。単位パルス当りの曝蝕深度はガラス転移温度(Tg)が低い高分子が大きかった。加工精度はTgの高いポリイミド、ポリカーボネートが優れていた。ビニルポリマーにArFレーザーを曝蝕しきい値以下の低エネルギー強度で照射し表面改質を行った。ポリビニルアルコールに照射すると、X線光電子分析により表面の酸素組成比が減少し、側鎖の水酸基の解裂を示唆した。またポリ(p-アミノスチレン)の場合、窒素組成比の減少と同時に酸素組成比が増加
し、水濡れ性となった。側鎖のアミノ基の解裂と同時に酸化が生じた。エキシマレーザーの照射波長と強度を選択することにより、高分子表面組成変化、および親水、疎水性付与の可能性が示唆された。