人工臓器
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細胞接着性タンパク質を共有結合固定したEPTFE人工血管の作製と評価
奥田 泰弘米谷 雅之濱口 美穂片見 一衛山之内 昭介熊田 敏彦
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1994 年 23 巻 3 号 p. 776-780

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抄録
Expanded polytetrafluoroethylene (EPTFE)人工血管(内径2mm, 繊維長30μm)に細胞接着性タンパク質であるゼラチン化アテロコラーゲンまたはフィプロネクチンを共有結合固定した人工血管を作製した。EPTFEの微細繊維一結節からなる多孔質構造は完全に維持され、その表面は固定したタンパク質で完全に被覆されていた。この人工血管でウサギ頚動脈を置換し、血栓形成性、開存性、内皮被覆率、器質化を検索した。吻合5分後、タンパク質を固定したEPTFEの内腔面は未処理のものと比較して血小板や血球成分を含む血栓の付着が多かったが、60分後にはフィブリンを主体とする平滑な血栓で覆われ、その上には血小板等は殆んど付着していなかった。12週までの開存率は未処理EPTFEと同等で、鍍銀染色による内皮様細胞の被覆率は約2倍と高かった。内皮被覆の促進には置換後の早期に形成するフィブリンを主体とする血栓の形成が重要であることが示唆された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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