抄録
ボロン酸基を細胞表面の糖鎖認識部位として導入したアクリルアミド型ボロン酸ポリマー(AB)により, レクチン様のリンパ球凝集が誘起され, さらにリンパ球の増殖誘導が引き起こされることが明らかとなった。この様なボロン酸ポリマーの人工レクチン活性を詳細に検討するために、水溶性ならびにボロン酸残基含量を増加させたボロン酸ポリマー(ジメチルアクリルアミドとボロン酸モノマーとの共重合体(DB))を新たに合成し、マウスリンパ球の増殖誘導を評価したところ、分子量および高分子鎖中のボロン酸残基含率がリンパ球の増殖誘導に対して重要な効果を示すことが判明した。さらにこのボロン酸ポリマーは殺癌活性を有するキラー細胞を誘導し得ることが明かとなり、新しい癌免疫療法剤への展開が期待された。