人工臓器
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スカート付きリンググラフトを用いた大動脈吻合部補強法の工夫
諸 久永高橋 善樹名村 理斉藤 憲八木 伸夫大関 一林 純一江口 昭治
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1995 年 24 巻 1 号 p. 139-142

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抄録
脆弱な大動脈へ人工血管置換時の、新しい吻合部補強法を考案した。15~25kgの雑種成犬11頭を用い、左総頚動脈-左大腿動脈間の一時バイパス下に、ダクロン人工血管のスカート付きリンググラフトを挿入し、大動脈壁をスカートでサンドウィチ状に固定して、以下の実験を行った。カテコラミン負荷によるリング群の耐圧試験では、収縮期血圧は112±34mmHgから280±28mmHgへと有意(P<0.01)に約250%増加したが、cutting, 離開による出血は認めなかった。4-0糸によるグラフトと血管との端々吻合例を対象群とし、水漏発生時の最小荷重量、及び完全離開時の荷重量を比較すると、コントロール群に比し、リング群が有意(p<0.05)に抗張力は勝っていた。また、移植1ヶ月後の組織所見上では、リング固定部での大動脈壁の性状に変化は少なかった。以上より、本法は、脆弱動脈壁時の吻合補強法として、有用であると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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