抄録
ヘモグロビンを乗合性脂質膜からなるリポソームに内包した人工酸素運搬体(ARC)の免疫系に対する影響を検討した。SD系ラットにARCを静脈内投与し、網内系機能に対する影響をカーボンクリアランス法、コンゴーレッドクリアランス法及びエンドトキシン致死試験によって評価した。更に脾臓リンパ球画分の幼若化反応及びNK活性に対する影響も併せて検討した。
投与1日後に高用量群でカーボンクリアランス値は対照群に比べ有意に低下した。コンゴーレッドクリアランス値は低下傾向が観られたが有意差は観察されなかった。いずれも投与3日後に回復した。エンドトキシン致死活性に対して作用は認められなかった。その他、幼若化反応及びNK活性など免疫系に特に問題となるような影響は及ぼさないと考えられた。