抄録
Stroma-free hemoglobin(SFH)に残存する型物質を定量する目的で, A型赤血球よりglycophorin Aを精製し標準物質およびコーティング抗原として用いる酵素免疫測定法(EIA)を確立した. 検出感度は0.3ng/wellであり, 従来の型物質検出系である赤血球凝集抑制試験(HAI)に比較して10倍程度向上した. 現在代表的なSFH調製法となっているRabinerらの方法, 更に改良を加えた加熱法, 酸処理法, クロロホルム抽出法, 限外ろ過法によるSFHの評価を行ったところ, Rabinerらおよび加熱法によるSFHではEIAにより8.40-8.70ng/mgHbの型物質の残存が認められ, HAIでも陽性と判定された. 一方, その他のSFHはHAIにより陰性と判定されたが, EIAにより型物質残存量0.46-0.84ng/mg, 除去率99.98%以上であることが示された. 以上の結果から, EIAはSFHに残存する型物質を定量する上で極めて有用であり, 型物質の残存を指標としたSFHの品質管理が可能であることが示唆された.